sanso114の日記

日々気になったことを気楽に書き留めています。

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

癒しの泉!?(チヂモン奇譚第2弾)(3)・・・R2.4.9③

その3 一方、記憶を奪われた山野周作は明珍忠助と麒麟に教えられた通り、泉に来る前に道を尋ねた村まで戻って来て、件の農夫に再び会った。 勿論、周作には農夫に会った記憶はない。ただ、小屋を出るときに麒麟から渡された写真を頼りに判断しただけである…

青春を懐かしむ人たち(2)・・・R2.4.9②

第1章 大学で何を学ぶか分からずに 唯入ること其れが目標 何となく理系科目が出来た故 理系に向くと単純なこと 中学では予習しなくても全く問題なかった授業が、進学校である北河内高校に入ってからは全く分からなくなった。 或る日の数学の授業において、…

癒しの泉!?(チヂモン奇譚第2弾)(2)・・・R2.4.9①

その2 実は、明珍忠助と麒麟は人型ロボット、つまりアンドロイドの研究をしており、それは殆んど完成していたのだが、唯一魂を作り出すことだけは出来ないでいた。人工知能を発達させ、知識の集積、計算、応用等については容量、速さ、正確性、継続性等にお…

癒しの泉!?(チヂモン奇譚第2弾)(1)・・・R2.4.8③

その1 山野周作はちょっと長い休みが取れると、決まって独り、名もない泉を求めて旅していた。 勤めている福祉施設の発表会で以前上演された劇に、そこの水を飲めば若返るという泉が出て来た。それにいたく感銘を受け、ひょっとしたらそんな不思議な泉が人…

青春を懐かしむ人たち(1)・・・R2.4.8②

青いとき 誰にでも 約束された 青いとき 中に居るなら 見えなくて 心騒がす 風が吹き 揺らされるまま 彷徨って 気が付いたなら 過ぎていた 中に居るより 外に出て 漸く気付く 其の価値に 其れが誰にでもある 青いとき 過ぎ去ってから 懐かしむ 其れが誰にで…

熟年ブロガー哀歌(5)・・・R2.4.8①

その5 その後、指定された実験を見事成功させ、ホワイトホールからの帰還で若返って無事帰還した大林盛夫は、約束通りに地球に返された。 「嗚呼、漸く帰って来ることが出来たなあ・・・。今日は一体何年の何月何日だろう?」 地元の乗換駅である生駒駅でスポ…

ロボットだって生きている!?・・・R2.4.7②

22世紀も半ばを過ぎた頃、人間は純粋な科学だけでは理解出来ない存在を切実に認識するようになり、心霊科学の領域が益々注目されるようになっていた。そして、人は死ぬ瞬間に見聞きしたものに生まれ変わる、それは一定の知能を持った存在でなければ受け止…

熟年ブロガー哀歌(4)・・・R2.4.7①

その4 その後、地球ではモニター希望者がどんどん増えて来て、地球人に化けた宇宙人たちが選別する為に地球に向かった。そして、健康状態に問題のない熟年男女たちが眠らされ、陸続と宇宙ステーションに送り込まれた。 集められた地球人たちには、単なる研…

草深い宿(チヂモン奇譚)・・・R2.4.6②

永野伸介は数年前にたまたま訪れた村で行なわれていた盆踊りに飛び入り参加し、和太鼓の腹に染入るような響き、全体に落ち着いた色合いの浴衣、村人たちの厚い人情等にいたく感動してしまった。 それからと言うもの、伸介は夏を待ち焦がれ、まとまった休みが…

熟年ブロガー哀歌(3)・・・R2.4.6①

その3 宇宙船の中では、先ほど大林盛夫を連れ込んだのり(勿論、宇宙人であるから、*#$&※???♭&%・・・・・等、わけが分からないながら立派な名前が付いているものと思われるが、便宜上以下でも地球で使っていた名前である浅田のりを用いることにする)が…

熟年ブロガー哀歌(2)・・・R2.4.5③

その2 《あ~あっ、何かブログに書きたくなるような話の種はないかなあ!? 行き帰りに見聞きすることなんてたかが知れているし、職場なんてもっと狭い世界だもんなあ・・・》 書けそうなことが中々浮かばず、困り果てた大林は帰り道でまたスポーツ新聞を買い…

人は見かけが9割!?(1)・・・R2.4.5②

その1 藤沢慎二は今年65歳になる。もうすっかりオジンである。自分でも日々それを感じている。 ある冬の朝、急いで急坂を駆け上がろうとして、ビクン! それだけで脹脛の筋肉が悲鳴を上げ、切れ掛かったことがある。 それがもう2年前のことになるか? あ…

熟年ブロガー哀歌(1)・・・R2.4.5①

その1 大林盛夫は今年で53歳になる。もう十分過ぎるほどベテランではあるが、いまだに自分探しに余念がない、しがないサラリーマンである。このまま無難に勤め上げればあと7年で定年になる。大幅な収入減は止むを得ないにしても、その後の仕事も期待して…

小さくなあれ・・・2.4.4②

「MD(ミニディスク、録音再生用光ディスク)では沢山の曲を入れる為に音の無駄な部分が削ってある。同様に物には必ずある無駄な空間、いわば真空な部分を削れば小さく出来る。この考えを進め、生物にまで応用したのがこの縮小剤、チヂモンじゃ。これを飲め…

波の間に間に・・・R2.4.4①

藤沢慎二が27歳の春、当時勤めていた受験関係の出版社、若草教育出版の編集取り纏めをしていた妙齢の女性、崎村京子が結婚を機に辞め、代わりに入って来たのが、新山澄江であった。澄江は地元の短大を出たばかりで、スラリと背が高く、小顔で、華のある可…

主の居ぬ間に・・・R2.4.3③

「言うまでもないことだが、自然が先にあって、物理はそれを出来る限り実際に近い形で簡潔に、美しく記述し、理解、更に応用する手段である。だから、物理が提示する理屈に合わない自然現象があっても全然不思議ではないし、もし明らかな相違が見付かれば、…

手首が覚えている!?(3)・・・R2.4.3②

その3 大阪府の東部にある守口工業高校を出た藤沢浩一は運好く、近くにある大手電機メーカー、杉上電器産業に入ることが出来、オーディオ・ビデオ機器の検査部門に配属された。 最新の電子測定機器を使って憧れの新製品を検査する。聞こえは好いが、メーター…

手首が覚えている!?(2)・・・R2.4.3①

その2 小学校の6年生の春、藤沢浩一、高木綾子、及川春江たちは兵庫県宝塚市にある仁川まで遠足に来ていた。 所々に不心得者が残して行った弁当柄、お菓子の袋や箱、飲料のペットボトルや缶等が散乱しているものの、沢を流れる水は透き通って美しく、空気…

手首が覚えている!?・・・R2.4.2②

その1 《ううっ、気持ちいい・・・。このまま寝てしまいそうだ。いけない、いけない。うっかり寝てしまったら、一体何をされるか、分かったものではない。春江は未だ俺のことを怨んでいるであろうから・・・》 藤沢浩一は迫り来る睡魔、そしてそこはかとない不安…

遣り取りする人・・・R2.4.2①

父親の藤沢浩治から青年期の話を聴いて書き残しておきたいと思っても、すっかり呆けてしまった今となっては最早遅かったようで、藤沢慎二は父親のことに関心を持った自分に満足することで自分をなだめておくしかなかった。 《う~ん、どうしよう? では、次…