sanso114の日記

日々気になったことを気楽に書き留めています。

コロナ禍の中、午後のひとコマ・・・R2.3.23③

 漸く春めいて来た。格好の散歩日和である。

 なんて、喜んでばかりもいられない。新型コロナウィルスの所為で、おちおち人が集まりそうなところには行っていられないから、買い物がてらの散歩のコースはいきおい、平日の昼下がり、空いていそうな大型ドラッグストアか大型スーパーに決まって来た。

 家人が手の空いているときは、運転して貰って、高の原、登美ヶ丘、大和郡山、橿原等にあるイオンのショッピングセンターまで足を延ばす。

 仕事で出る以外は生駒山の向こう側、大阪まで足を延ばすことは無くなった。

 令和2年3月23日、この日を慎二は胸に刻んでおこうと思っている。

 既に定年が過ぎ、再雇用で勤めて4年が過ぎようとしている。当然のことであるが、そんな慎二にも若い頃があった。

 覚えておきたい思い出は、もう若くはない頃のことであったが、それでも今から25年も前のことになる。25年前の今日、そして今頃、慎二は妻の晶子の運転で、その頃晶子が住んでいた岸和田から生駒にある今の家に向かっていた。

 それから色々なことがあった。その中でも、1年おきに出来た子ども等のことが一番印象強く残っている。

 その子ども達は長男の浩太を除いて、どういうわけか、萌え絵を描くことに凝っている。今日も散歩から帰って来たとき、何時もの予定を変えて家に居る次男の俊太が鉛筆を尖らせて、萌え絵の下書きをしていた。

「どう、父ちゃん。美脚好みの父ちゃんから観て、出来はどう思う?」

 微妙であった。元々は絵が微妙なこともあったが、それより今は、子どもの作品を冷静に観ることが中々難しい。感情が勝ち過ぎている。

 それでも観ていると、以前に比べて大分纏まって来たのは分かる。虚仮の一念、続けてみるものである。

「そうやなあ、もう少し下肢を長くすると格好が好くなると思うでぇ~。それで脚が身体の半分ぐらいになるやろぉ~? それに太腿はもう少し太い方が好い。背が高く、脚の長い人は、ふつう思っているよりも太腿が確りしている。その方がええなあ・・・」

 そう言いながら、かつては目覚まし代わりに聴いていたK-popアイドルグループを思い浮かべ、

「ほら、少女時代の脚を長く修正した写真、あったやろぉ~。あんなん観てみてぃ~。それに、・・・」

 大分前に実写版ドラマ、「エンゼルハート」で観てから強い印象が残っている三吉彩花を思い浮かべながら、手近にあった俊太のiPhoneで検索した写真を見せてやった。

「ほら! この頃ちょっと絞り過ぎやけど、相変わらずバランスはええなあ。フフッ」

 得意分野についての質問であったから、ノリノリになっている慎二であった。

「ほんまやなあ・・・」

 そう言いながらも、俊太はもう気が移ったのか? iPhoneの画面をさっと切り替え、女性の手提げ鞄について調べ出した。三吉彩花が綺麗でスタイルの好いことは認めても、俊太の好き心をそんなには刺激しなかったようだ。

《そやねんなあ。綾瀬はるかと言い、我が国の女優は絞り過ぎなんやぁ~!? それに美人やからって受けるわけでもない。可愛い方が絶対受けるし、ほんま、ロリコン大国やなあ・・・》

 気持ちの持って行きどころを失った慎二は、憤りに近いものを感じながら、虚空に向かってそんな主張を幾度となく繰り返していた。

 

        美人より可愛さ好む我が国は

        幾つになれど甘えるのかも