sanso114の日記

日々気になったことを気楽に書き留めています。

人は見た目が9割!?(最新版その6)・・・R3.12.7②

              その6

 

 令和2年2月28日、金曜日の朝のこと、藤沢慎二は何時も通り今の職場である心霊科学研究所東部大阪第2分室に7時50分頃に着き、玄関ホールの受付前に設置してあるタイムカードをスリットした後、3階までふぅーふぅー言いながら階段を上がって割り当てられた執務室に入る。

 既に正木省吾、すなわちファンドさんが来て居り、ちょっと古めのiPhoneの端のひび割れた液晶画面を熱心に見詰めて、何やらぶつぶつ独り言ちながら、頻りにメモを取っていた。

「おはよ~う」

「おはようございま~す」

 何時通りに朝の挨拶を交わした後、世界では新型コロナウイルス感染症の騒ぎが大きくなっていること、ファンドさんの一番の関心事である株価に大きな変動が起こっていること、各国の通貨のレートにも大きな影響が出ていること等、ひと通り世間話をし、慎二は自前の中古ノートパソコン、「神の手」をおもむろに開いた。そして、上手く書けたと思う時は即座にブログにアップ出来るように、テザリング用に格安のSIMを挿したスマホまで用意しておく。

 その後は暫らく考え、それからおもむろにメインで使っているスマホを取り出して、通勤電車の中でメモしておいたものを見ながら「神の手」に起こして行く。

 ファンドさんはそんな慎二の一連の動作からはもうすっかり関心が離れ、またiPhoneの液晶画面を見てはぶつぶつ独り言ちながら、熱心にメモを取り始めていた。

 

        朝のひと時雑詠

 世間では新型コロナウイルス感染症の件で大騒ぎになっている。

 ここのところ花粉症が酷くなって来たのもあるし、仕方が無いから残り20枚ほどになった買い置きの不織布マスクを着けて出た。

 これでも結構息苦しい。

 元々蓄膿があって、鼻で息が出来なくなっているからなあ。

 ところで、この使い捨てマスクでは新型コロナウイルスまでは防げないそうな。

 ちょっと調べてみると、スギ花粉の直系が30μmぐらいで、マスクの穴の直径は3μmぐらいだとか。

 そりゃ十分に防げるなあ。

 それで1番気になっているウイルスの方はどうなのか!?

 なっ、何と直径が0.1μm以下だと言う。

 これでは不織布の使い捨てマスクの穴ぐらいスイスイ通り抜けそうだ。

 でも、普段見慣れない単位になると、今一実感が薄い。

 と言うわけで、ここでは日常よく出て来る単位に当てはめてみることにしよう。

 花粉とかよくある細胞の大きさを1辺1kmとすると、1km四方で分かり易いのが関西では大阪城公園奈良市内に大きく広がる平城宮跡ぐらいのものか!?

 これの10分の1レベルがマスクの穴の直径で1辺100mだから、100m四方とすると、例えるならば都会にある学校の運動場ぐらいのものか?

 そしてウィルスは? と考えてみると、長さ的にはその30分の1レベルで3mぐらいのものであるから、軽自動車ぐらいのものか!?

 そりゃ幾らでもマスクの穴ぐらい通り抜けられる気がして来た。

 その後に目、鼻、口等の粘膜の細胞のどこからでも体内に潜り込める!?

 おお、怖い!

 こんなことを昨夜考えていた所為もあってか? ちょっと寝付きが悪くなってしまった。

 

        ウイルスを考え過ぎて不眠症

 

        春眠を楽しませないコロナかな

 

 大阪府大阪市等で新型コロナウイルス感染症対策として公立学校の休校について発表し始めた。

 大阪市は大胆にも今日から市立の小中学校全校を休校にするそうな。

 我が家では子どもがそれを観て、自分の通う学校も休みにならないかと期待している。

 奈良の私立だし、しかも短大だから、もう高校でもないのになあ。フフッ。

 そうこうする内に、安倍首相が全国レベルで小中高および支援学校等、全ての学校に3月2日から休校とするように要請したとか。

 子どもが益々悔しがっていた。

 子どもとは、まあそんなものだなあ。フフッ。

 ただ、現実問題として日本の経済活動を全て止めるわけにも行かないから、これから個々に付いて細かい手当てが必要になって来る気がする。

 既に保育所学童保育に付いては要請せず、と出ていたが、果たしてそれだけで済むのかどうか?

 ネットの記事には早速喧々諤々、ネット民からの色々なコメントが集まっている。

 

        生活の基盤揺るがすコロナかな

 

 その辺りまで書いて慎二が「神の手」の液晶画面をさっと目で追い、確認しながらしみじみしとていると、

「おはようございま~す」

「おはようございま~す」

「おはよ~う」

 井口清隆、すなわちメルカリさんが執務室に入って来た。

 慎二は、ちょっとは自信を持ちながらメルカリさんの方に「神の手」の液晶画面を向け、見せながら問い掛ける。

「メルカリさん、どう、これぇ? 来る途中の電車の中でスマホにメモしておいたものを元に書いてみたんやけどぉ・・・」

「そうですかぁ~!? それにしてもブログさん、毎朝、よう精が出ますねえ・・・」

 半分呆れ、半分感心しながら読み進める。

「どれどれ、ふむふむ、・・・」

 気の好いメルカリさんはキラキラと目を輝かせながら、

「ふぅ~ん、そんな大きさの関係なんですかぁ~。ブログさん、理学部出身だけあって流石ですねえ・・・」

 ちょっと感心して見せる。

 慎二はちょっと照れながら、

「まあ計算するのは好きな方やからなあ。でも、そんなん言うたらメルカリさんかて理系やろぉ~!? ここに居るぐらいやから~」

「ちゃいますよぅ! 僕、実は文学部の心理学科出身ですけどぉ、まあそんなんどうでもよろしいやん」

 メルカリさんはそれ以上大学の時のことは話したくなさそうだったので、慎二は話題を替える。

「ところで、メルカリさんとこ、子どもさん等、まだ小さかったんやろぉ~?」

「ええ。上がまだ小学生で、下が今度小学校に上がりますねん」

「大変やなあ。これから学校休みになったら・・・」

「でも、僕とこは奈良やし、大阪とはまた違うと思いますわぁ~。それに嫁さんは奈良の小学校で教師やってますから、僕とは違うやろし・・・」

 と言いながらも、メルカリさんはちょっと困ったような笑顔を浮かべながらおもむろに立ち上がり、給湯室までコーヒーを淹れに行った。

《そう言えば俺のとこも奈良やったなあ・・・》

 そう思いながら、ちらっと窓から生駒山の方を見て、慎二はどこかじわじわと迫って来る不安を感じ始めていた。

 その時、2人の話を聞くともなしに聞いていた様子の、事務を担当している若い依田絵美里が近寄って来て慎二の机の上にそっと熱いお茶を淹れた備前焼のぷっくりした湯飲みを置き、何も言わずに離れる。

 ちらっと見た絵美里の表情が心なしか曇っており、慎二の気持ちは更に揺らされていた。

《そやけど、皆で沈んででも仕方が無いしなあ・・・》

「よしっ!」

 慎二は気持ちを吹っ切るように一口お茶を飲み、自分なりに気合を入れてから、「神の手」をそっと閉じた。

 

        じわじわとコロナの不安感じつつ

        気合を入れて仕事するかも

 

     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆

 

 話の内容はともかく、日付的には上記のような感じであったから、私が日常的にマスクを着け始めてからもう21か月は過ぎたわけだ。

 

 そして、国内は新規感染者が一気に減って来た感があるが、外国ではそうでもない。

 

 えらく増えているところもあるし、新たな株の出現で大騒ぎになっている。

 

 私の近所でも道行く人まで普通にマスクをするようになった。

 

 違っているのは不織布の使い捨てマスクが大量に出回り、えらく安くなっていることか!?

 

 大阪の繁華街、難波辺りでは50枚入り1箱100円ぐらいからあるらしいし、私がインターネットショップで買った物は50枚入り1箱50円ぐらいであった。

 

 でもまあそれは2000枚、つまり40箱まとめ買いをしての話なので、今我が家では不織布マスクが溢れ返っている。

 

        あそこにもここにもマスク溢れ出し

        春の訪れまだ遠いかも

 

 マスクは溢れても、仕事、お金等に付いては枯れ気味で、新政権はまたお金のばら撒きを健闘しているようである。

 

 もう、どのようにの段階に入っているようであるが、勿論必要な人への支援は仕方が無いとしても、仕事、生き甲斐等の創生にもっと頭を使って欲しいところではある。

 

 カジノとか五輪、万博のような大きなイベントとかでなくってね。