sanso114の日記

日々気になったことを気楽に書き留めています。

人は見かけが9割!?(31)・・・R2.6.1①

              その31

 

 令和2年6月1日、月曜日の朝のこと、藤沢慎二は何時も通り今の職場である心霊科学研究所東部大阪第2分室に7時50分頃に着き、タイムカードにスリットした後、そばに置いてあるアルコール消毒液で手を消毒する。

 これは大分前から置いてあり、来客も含めてそこを通る人の皆が日に数回ずつは使う所為か? この頃は何だかやけに減りが早いように思われる。幾ら呑気で不精者の慎二でも一旦使い始めると、そうしないことが結構大きな不安になって来るのであった。慎二はそれぐらい小心者で、同調圧力に弱いタイプでもあった。だからついでに洗面所に寄って、うがいもしておく。

 そんな一定の安心感が得られる程の儀式的なことまで済ませて執務室に入って来たら、既に正木省吾、すなわちファンドさんが来て居り、スマホを観てはぶつぶつ言いながらしきりにメモを取っていた。

「おはよ~う」

「おはようございま~す」

 挨拶を交わした後、我が国では急激に新型コロナウイルス感染症が収まっていること、全国的に緊急事態宣言に続いて休業要請も解除されていること、しかし福岡県、神奈川県、北海道等、広範囲に亙ってまだ感染者が時には増えたりもしていること、通勤電車や駅に学生が見られるようになり、程々に混んでいるときもあること、ファンドさんの一番の関心事である株価に相変わらず大きな変動が起こっていること等、ひと通り世間話をし、慎二は自前の中古ノートパソコン、「神の手」をおもむろに開いた。そして、上手く書けたと思う時は即座にブログにアップ出来るように、テザリング用に格安のSIMを挿したスマホまで用意しておく。

 何処まで書くか何か迷うところでもあったのか? その後は暫らく考え、それからおもむろにメインに使っているスマホを取り出し、通勤電車の中でメモしておいたものを見直しながら起こして行く。

 ファンドさんの関心は既に投資関係の記事に移っており、またぶつぶつ言いながら熱心にメモを取り始めた。

 

         朝のひと時雑詠

 6月になった。

 昔風に言えば水無月である。

 確か、水の月から来たと言う説もあったように記憶している。

 近所に広がる田んぼには水が入り始めた。

 暑い日が増えて来て、子どもらには水泳も始めるようである。

 でも、新型コロナウイルス感染症の影響で、水泳が無くなる学校もあるとか。

 そんなこんなから折句を一句。

 

        水泳が 無いと寂しい 月になり

 

 私にとって無いと寂しいのはボーナスである。

 今月末にはボーナスが出るはずであるが、さてどんな感じになるのだろう?

 もともと定年前の4分の1にまで減らされているが、今後更に減って来るのだろうなあ。フフッ。

 それも含んでの特別定額給付金と思い始めた所為か、先に使い始めた分を除いた残金についてはちょっと財布の紐が締まり出したようである。

 それはまあともかく、今週は本来の形に戻り、月、火、水と3日連続の出勤日となって、その後が休みになる。

 本格的に業務が始まる緊張もあって、早めに目覚め、その後はあまり眠れなかった。

 午後は眠くなるであろうが、それも含めて始まるようである。

 

        ぼちぼちと仕事再開水の月

 

        再開の鬱感じつつ出勤し

 

 一方で、また日常が始まり、同僚らに会う楽しみもある。

 テレワーク、有休等、色々な理由で出勤していない人が増えていたから、それが減って来て、また皆が顔をまた合わせるようになる。

 暫らくはギクシャクしたり、仕事が上手く運ばなかったりするであろうが、こなれて行くにはそれも必要な過程であろう。

 そう思って、暫らくは我慢だなあ。フフッ。

 

        ギクシャクとぶつかりながら再開し

 

        ギクシャクと揉み合いながら再開し

 

 そう言えば我が家の子どもの学校も今日から登校が始まるようである。

 学校から言われているようで、朝から検温していた。

 ついでに私もしてみれば、朝食直後で35.9℃であった。

 相変わらず低い。

 血圧と体温だけは大丈夫なようである。

 後はちょっとした坂道で息が荒くなり、階段が続くと膝が痛くなるから、結構ガタが来ている。

 それでも、動き出すと何とか動けるようになるし、立ててくれている面もあるにせよ、時々意見を求められるから、暫らくは行く意味を感じられそうだなあ。フフッ。

 

        立てられて仕事する意味与えられ

 

        立てられて仕事する意味感じられ

 

 さて、ここからである。

 今回かなり特殊な事情になり、どの業界でも仕事の見直しが迫られている。

 そう言う意味では、考える好い機会と思った方が好いのかも知れない。

 経験も踏まえて、今ある姿がそうなって来た経緯を思い出しながら、私なりに見直し、多少は意見を出して行くのも務めのような気がして来た。

 出し方も含め、中々取り上げられないようにも思われるが、出せば誰かの気には止まるであろう。

 そう思いながら、後暫らくは諦めずに出して行こうかとは思っている。

 それはまあともかく、まだ暫らくは彼方此方でマスクの着用を求められそうだなあ。フフッ。

 

        汗みずくマスク着用出勤し 

 

 ところで、今仕事の見直しに付いて少し触れたが、子ども等の通う学校に付いてもそうである。

 久々に友達と遊びに行った時、道中でそんな話が出た。

 自分が学生の頃を思い返しても、高校の後半は寝たり、内職をしたり、殆んど勝手なことをしていた。

 予習をしていれば授業を聴く必要が無かった覚えがある。

 これは自慢でも何でもなく、教科書以上のことは殆んど言っていなかったし、それもしていなかった授業が結構あったような記憶が残っている。

 要するに自分で勉強しても変わらなかったわけであるから、それは省こうと思えば省けたわけである。

 朝はあまり時間が無いので、これについてはまたゆっくり考えてみたい。

 さて、緊急事態宣言に続いて休業要請も解除された今、いよいよ6月である。

 最寄り駅のホームからは生駒山がくっきりと見えている。

 何時も乗る時間帯の通勤電車はこれまでと変わらず、空いている。

 時間差の加減か? 学生の姿がまだ見えなかったのが効いているように思われる。

 ただ、次の駅になると座席は大体埋まり、立っている人も出て来たから、生駒線はまだ暫らくこんな感じであろうか?

 天気の方は雲が残っており、よく観ると、生駒山の一部に影を差している。

 日差しは十分に明るく、暑い。

 その対比が如何にも初夏である。

 ラテンの光と影とまでは行かないにしても、そんなことを思い出させる感じではあった。

 

        生駒山光と影に彩られ

 

        生駒山光と影に分けられて

 

        生駒山光と影が初夏らしく

 

 それはまあともかく、乗換駅の生駒では更に人出が多くなり、乗り換えた奈良線の尼崎行きの普通電車では座れたが、立っている人が少し増えた。

 たまたま空いている席があったので座ったら、隣の席の人はマスク越しの息が荒く、鼻汁をすする音、咳をする音等が割と頻繁に聴こえて来る。

 要するに、空けてあったようである。

 だからと言って、一旦座ったものを急に立つわけにも行かず、後は何だか緊張したままの出勤となった。

 単なる夏風邪でありますように・・・。

 

        夏風邪やコロナ思わせ緊張し

 

 それよりも、座ったのが山に向かう席なので、眼下に広がる大阪の街並みが見えない。

 そこはマジに残念である。

 晴れた日のこの景色は中々捨て難い。

 

        トンネルを抜けて眼下にジオラマ

 

        トンネルを抜けてジオラマ目一杯

 

        トンネルを抜けてジオラマ目の保養

 

 職場の最寄り駅の近くにあるドラッグストアでもマスクの量が大分増えた。

 店員が、「奥にもありますよ」と案内するようにもなっている。

 この前より少し安いのも出ていたので、今日はアイリスオーヤマが出している7枚で298円(税抜き)、合格証付きと言うやつを買っておいた。

 他に、50枚1980円(税抜き)箱入りのものもあった。

 まだまだ高い気はするが、この辺も少しずつ戻って行く感じがして来た。

 

        給付金マスクになって再開し

 

        給付金マスクに変わり再開し

 

この日も自分なりには上手く書けたと思い、慎二がしみじみしていたら、

「おはようございま~す」

「おはようございま~す」

「おはよ~う」

 井口清隆、すなわちメルカリさんが執務室に入って来た。

 慎二はちょっと迷い、メルカリさんの方に「神の手」の液晶画面を向け、見せながら問いかける。

「どう、これぇ? 今日もまあまあ上手く書けたと思うんやけどなあ・・・」

 それだけのことで小心者の慎二は、相変わらず緊張で耳をひくひくさせている。

「毎朝、よう精が出ますねえ。と言うても、この頃僕はここに来るより家に居る方が増えてましたけどねぇ。フフッ」

 そう言いながらちょっと照れ、半分呆れ、半分感心しながら、気の好いメルカリさんはさっと目を走らせて言う。

「ふぅ~ん、ブログさん、今日はえらい謙遜してはりますねえ!? マジな話、何時も凄い助かってますし、参考にさせて貰ってますってぇ!」

「メルカリさん、何や今日はえらい持ち上げてくれるなあ。そんなに持ち上げてくれても今日は何も出えへんでぇ~。フフッ」

「ハハハ。またスピーカーでもくれはるかと期待してたのに・・・」

「一杯余っているから別に上げてもええんやけど、どうせ上げたらメルカリで売るんやろぉ~!?」

「ハハハハハ。もしくれはってもそんなことしませんし、それに冗談ですってぇ! ほんま何時も助かってますし、今日もよろしくお願いします」

 そう言いながらメルカリさんは軽やかに立ち上がり、コーヒーを淹れに行った。

 空かさず事務を担当している依田絵美里が近寄って来て慎二の机の上にそっとお茶を置き、微笑みながら、

「私も何時も色々教えていただき、助かっています。今日もよろしくお願いします」

 そう言って、スッと遠ざかった。

 それだけのことで慎二は何だかほっこりし、もう暫らくは頑張って働かなければなあ、と言う気にさせられた。

 

        若手等の気遣い感じほっこりし
        仕事する気が湧いて来たかも