sanso114の日記

日々気になったことを気楽に書き留めています。

人は見た目が9割!?(最新版その15)・・・R3.12.15①

              その15  

 

 令和2年4月7日、火曜日の朝のこと、藤沢慎二は何時も通り今の職場である心霊科学研究所東部大阪第2分室に7時50分頃に着き、玄関ホールの受付前に設置してあるタイムレコーダーにICチップ入りの職員証をスリットした後、息を切らせながら階段を3階まで上がり、割り当てられた執務室に入って来ると、正木省吾、すなわちファンドさんが何時も通り、ちょっと古めのiPhoneの端に何本かひびの入った液晶画面を食い入るように見詰めてはぶつぶつ独り言ちながら、頻りにメモを取っていた。

「おはよ~う」

「あっ、おはようございま~す!」

 これも何時も通りの日常的な朝の挨拶を交わした後、世間話も早々に、ファンドさんはiPhoneの液晶画面に視線を戻し、メモを再開する。

 この日も株価がよほど気になる動きをしているのか!? 気にならないではなかったが、自分では始める気にならない極め付きの小心者である慎二にとっては単なる野次馬としての関心に過ぎないので、それ以上構わないことにし、自前の中古ノートパソコン、「神の手」をおもむろに開いた。それから上手く書けたと思える時は間を置かずブログにアップ出来るように、そばにはテザリング用に格安SIMを挿したスマホも用意しておく。この間を置かずと言う至極焦りなところも投資に踏み切れない大きな理由であるが、それはまた別の話であった。

 ともかく、暫らく考えた後に通勤電車の中でメインのスマホにメモしておいたものを観ながら起こして行く。

 

         朝のひと時雑詠

 今、コロナウイルスの感染拡大により社会全体、そして私の通う職場まで大きく揺らされている。

 大抵の仕事がそうであるように、私が携わっている仕事も自分等だけで動けるものではなく、相手のある話であるから、中々予定していたようには行かず、緊急で予定変更を迫られている。

 こんなときには家庭だけではなく、職場でも、これまで忙しくて置いて来たことが問題になって来易い。

 正直言って置いて来ただけに面倒なことではある。

 それでも今を、問題が提起される、すなわち炙り出される好い機会だとでも思って、再考し、検討することに生かしたい。

 

        色々な矛盾コロナが炙り出し

 

        コロナ禍や色々矛盾炙り出し

 

        コロナ禍や矛盾再考機会とし

 

 こんな風に今、人類は悩まされているが、他の動物は一体どうなのであろうか!?

 大いに気になるところではある。

 そこでネットで検索してみると、外国では動物園のトラやライオンにまで感染したそうな。

 それでも、今のところは順調に回復しているようだから、もしかしたら人類よりは新型コロナウイルスに強いのであろうか!?

 それでは、植物はどうなのだろう?

 例年と変わらず元気に花粉をばら撒いていることを思えば、やっぱり人類よりは強いのであろうか!?

 ところで、今日は何だかやけに寒い。

 4月になって1週間が経ち、そろそろ暖房を入れるのに抵抗を感じ出したが、入れないままだと、少し居るだけで冷えて、お腹の調子が悪くなって来た。

 人間が自分等で勝手に決めた季節と言うものに変な拘りは持たない方が好さそうだなあ。フフッ。

 

        自分等で決めた季節に拘って

 

        自分等で決めて拘る面白さ

 

        自分等で決めて拘りあなおかし

 

        自分等で決めて拘る矛盾かな

 

 それはまあともかく、この頃また色々とオーディオ製品が欲しくなって来た。

 ネットで検索してみると、低音、高音まで綺麗に鳴ってくれる充電式のブルートゥース付きスピーカーおよび小型のコンポにちょっと気になる製品が幾つか出ている。

 マスク、ティッシュペーパー、食料等の日常生活における必需品にお金が掛り、趣味に掛けるお金が不足しがちな昨今、余計に気に掛かるから面白い。

 

        不足して余計物欲増すのかな

 

        不足して余計物欲刺激され

 

 それにしてもマスコミは相変わらず日々を精一杯遣り過ごしている庶民の不安を煽るような記事ばかり垂れ流しているように思われる。

 内容はともかく、やたら煽るようなタイトルを付けている。

 マスコミ、政府等は国民が育てるのだと言う考え方からすれば、我々日本人が元々不安を持ち過ぎていると言うことであろうか!?

 確かに、国民の感情に訴えるような記事が先ずそうで、その記事に煽られたように付くコメントからもそのように思われる。

 たまに誰かを褒めたり、持ち上げたりする記事があると、早速叩き、引き摺り降ろそうとするコメントが付きがちである。

 このマイナス思考は一体何処から来ているのか!?

 地震、台風等、災害に揺らされ易いからなのか?

 それに関係あるのかも知れないが、中々経済的に潤わず、安定した将来を描き難いからなのか?

 上に立つ人たちも余裕がなく、まず自分たちを潤すことで精一杯だからなのか?
 出来れば冷静な判断、前向きな思考への転換を期待したいところである。

 勿論、他人に期待するばかりではなく、先ずは自分達からだなあ。フフッ。

 例えば今、政府や彼方此方の自治体の首長が炙り出しに遭っているが、文句があるのならば、せめて選挙ぐらいには行かなくっちゃね。

 

 その日も自分なりにはまあまあ上手く書けたと思って手を止め、慎二がしみじみとしていたら、

「おはようございま~す」

「おはようございま~す」

「おはよ~う」

 井口清隆、すなわちメルカリさんが執務室に入って来た。

 慎二はちょっと迷い、メルカリさんの方に「神の手」の液晶画面を向け、見せながら問い掛ける。

「メルカリさん、どう、これぇ~? 今日もまあまあ上手く書けたと思うんやけどなあ・・・」

 それだけのことで小心者の慎二は、緊張で頬を紅潮させ、耳たぶをひくひくさせている。

「ブログさん、毎朝、よう精が出ますねえ・・・。それに結構深いこと書いてはるし、流石ですねえ!」

 半分呆れ、半分感心しながら適当に持ち上げて、気の好いメルカリさんはさっと目を走らせて行く。

「どれどれ。それで、ふむふむ、・・・」

 何時もより丁寧に読んでくれている気がし、何を言われるのかと慎二の緊張が最高潮に達し掛けた頃にメルカリさんは漸く顔を上げて、

「ほんま、毎日一体何をしたら好いのか、迷いますねえ!? ブログさんなんか週に3日出勤やから、今日、明日我慢したら何とか済むからええけど、僕らみたいに毎日来てたら大変ですわぁ~!」

 聴いていて慎二は自然と表情が緩んで来る。メルカリさんの気楽そうな様子がおかしくなって来て、

「でも、メルカリさん、幾らでも休めるんとちゃうん!? この前印籠みたいに職免の紙、見せてくれたやん!」

「まあね。でも、幾ら僕でもそれなりに仕事があるから、そんなには休んでばかりもいられませんし・・・。それはまあええんですけど、ふぅ~ん、外国では動物園の動物まで罹ってるんですかぁ~!? そりゃ大変ですねえ!」

 話がややこしくなる前にメルカリさんはスゥーッと話をずらせて行く。この辺の軽妙さは慎二から観ると流石現代っ子である。

 慎二もそこを追い駆けてまで話を重い方に戻そうとはしない。

「ほんまやなあ。でも、軽く済んだみたいで好かったやん・・・」

 そこにも留まらず、メルカリさんは更に次の話題に転じ、

「そうかぁ~。ブログさん、オーディオ好きですもんねえ!?」

 と言いながら、半ば呆れ気味に慎二の机の周りを見渡す。

 一応研究職と言う仕事上の必要性もあって其々には大きめの机が与えられており、慎二の机の上には本やファイル、パソコン以外にも、ブルートゥース付きスピーカー、ミニコンポ、オーディオケーブルの類が雑然と置いてある。

 ただ、そう言うメルカリさんの机の上にも更に雑多な物が所狭しと置いてあった

「いやぁ~、俺なんかオーディオか本だけやし、メルカリさんの幅広さにはとても適わへんしぃ・・・」

 慎二は負けじとメルカリさんの机の上を見渡して、

「絶対負けてるわぁ~! フフッ」

「あっ、これですかぁ~!? こんなん安く買うか、只で貰って来て、それをメルカリで売ってまうもんばっかりですから、実はそんなにも資本が掛かってませんわぁ~! ハハハ」

「そりゃ、メルカリさんはそれで儲けているからなあ。フフッ」

 慎二は一瞬ではあるが、心底羨ましそうな顔をする。

 そこをメルカリさんは空かさず捉えてにんまりとし、

「本当は僕らよりも、たとえばブログさんみたいな60代の人の方が一番儲けているそうですよぉ、メルカリではぁ~! ブログさんも家では秘かにやってるのとちゃいますのん!? 家にはもっと色々持ってはるんでしょ?」

 そう突っ込まれると慎二は嬉しそうに鼻を蠢かし、

「いやぁ~、そんな自慢出来るほどの大したもんは持ってないけど、そう言えば数だけはあるなあ。フフッ」

 そう言いながら、彼方の部屋に1つ、此方の部屋に1つと空で数え出し、次第に目が遠くなって行くのを鋭く感じ取ったメルカリさんは、そろそろ頃合いかと思い、その場をそっと離れて給湯室までコーヒーを淹れに行った。

 慎二も朝から話題が、日本人の心性、我が国のマスコミや政府の特徴等の重そうなところまで入って行くことは期待しておらず、それで好かったようで、これまでに買い集めた安物のオーディオに纏わる思い出に気持ちが動いていた。

 そこに事務を担当している若い依田絵美里が近付いて来て、慎二の机の上にそっと熱いお茶を淹れた備前焼のぷっくりした湯飲み置き、何も言わずに遠ざかって行った。

 その顔をよく観ると、オヤジ達の与太話を聴くには聴いていたが、大して興味が無さそうな表情をしていた。それに、自分の世界に入り始めた慎二の邪魔をしてはいけないと気を遣ったようでもあった。

 

        金でなく物には其々思い出が
        プライスレスに纏わるのかも

 

        オヤジ等の勝手な話興味なく

        放っておけば気楽なのかも 

 

     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆

 

 2021年12月15日現在、新型コロナウイルスの日本全体の新規感染者は176人で、大阪府は17人、そして私の住む奈良県は0と発表されている。

 

 棒グラフにすると、多い時に比べて無視出来るほど、つまり雑音のようなものである。

 

 それでも米国、ロシアでは共に1000人を超えているようだし、世界中で新たな株に付いての緊張が高まっている!?