sanso114の日記

日々気になったことを気楽に書き留めています。

人は見た目が9割!?(最新版その50)・・・R4.1.15①

            その50

 

 令和2年6月30日、水曜日の朝のこと、藤沢慎二は何時も通り今の職場である心霊科学研究所東部大阪第2分室に7時50分頃に着いて、玄関ホールの受付前に設置してあるタイムレコーダーにICチップ入りの職員証をスリットした後、直ぐそばに置いてあるアルコール消毒液を掌に溢れんばかりにたっぷりと取り、その中で手指を丸めたり、伸ばしたり、擦り合わせたり、爪の間にも染み込ませようと指先を掌でトントンしたりし、ともかく丁寧過ぎるぐらい念入りに消毒する。

 この消毒液は大分前から置いてあり、来客も含めてそこを通る人の皆が日に数回ずつは使う所為か? この頃は何だか減りが早いように思われる。幾ら呑気で不精者の慎二でも気になって一旦使い始めると、そうしないことが結構大きな不安になって来るのであった。慎二はそれぐらい小心者で、同調圧力に弱いタイプでもあった。だからついでに洗面所に寄って、持参した米国製超強力うがい薬、「Tレックスマウスウオッシュ」で何回もうがいをしておく。

 そんな一定の安心感が得られるまでの儀式的なことまで済ませて執務室に入って来たら、これも何時も通り、既に正木省吾、すなわちファンドさんが来て居り、ちょっと古めのiPhoneの端に何本かひびが入った液晶画面を見詰めてはぶつぶつ言いながら、しきりにメモを取っていた。その変わらなさ加減にも結構大きな安心感があった。

「おはよ~う」

「おはようございま~す」

 ごく習慣的な朝の挨拶を交わした後、我が国では急速に新型コロナウイルスの新規感染者感染数が低レベルに収まりつつあり、もしかしたらもう大丈夫!? と安心し掛けていたら、緊急事態宣言、休業要請、都道府県をまたぐ移動自粛等の解除の影響が早速出て来ているのか? この頃また無視出来ないほどの新たな感染者が福岡県、大阪府、神奈川県、東京都、埼玉県、千葉県、北海道等と、広範囲に亙って無視出来ないほど出ていること、大阪でも難波、心斎橋、梅田、天王寺、京橋等の繁華街では人波が確実に増えて来ていること、通勤電車や駅に学生が見られるようになり、まあまあ混んでいるときも増えたこと、その影響が新たな感染者の増加等にじわじわと出始めていること、外国では米国、ブラジル、イギリス、イタリア、ロシア、インド、イランと相変わらず広範囲に亙って猛威を振るっていること等、一頻り世間話をし、それから慎二は自前の中古ノートパソコン、「神の手」をおもむろに開いた。そして直ぐそばには、上手く書けたと思う時は即座にブログにアップ出来るように、テザリング用に格安のSIMを挿したスマホまで用意しておく。

 他人の目も意識して何処まで書くか何か迷うところでもあったのか? その後は暫らく考え、それからおもむろにメインに使っているスマホを取り出し、家を出る前、通勤電車に乗車中、乗換駅での待ち時間、徒歩移動中等にメモしておいたものを見直しながら起こして行く。

 ファンドさんの関心は既に投資関係の記事に移っており、またiPhoneの液晶画面を見詰めてはぶつぶつ独り言ちながら、熱心にメモを取り始めた。

 

          朝のひと時雑詠

 今週2日目の出勤日である。

 予報通り、朝から生憎の如何にも梅雨っぽい天気となった。

 その所為もあって、子どもも私も、口を開けば、「嗚呼蒸し暑い。嗚呼怠い。嗚呼眠い」等と言っている。

 2人共、これから直ぐに出なければならない。

 それが余計に気を重くしている。

 まあ単純なものである。

 残りの家に居られる方である家人や子ども等は何も文句を言っていない。

 まあ好い。

 悪い方から始まれば、後は好くなるばかりであろう。

 そう期待出来る。

 それが本当になるかどうかは分からないが、期待出来る喜びがあるだけでも好い。

 

        マイナスはプラスに転ず望みあり

 

        マイナスはプラスに転ず期待あり

 

 それはそうと、昨日家に帰ったら、特別定額給付金の残金を計算しながらネットで注文しておいた安物の時計と安物のブルートゥーススピーカーが届いていた。

 時計の方はシチズンから出ているアナログ表示のソーラー電波時計で、税込み送料込み7990円であった。

 これまでに使っていたカシオ製とは違い、何と秒針まで付いている。

 ところどころにある赤字の表示がちょっと中華風で、煩い感じがしないでもないが、それはまあ好い。

 ただ、カシオ製に比べて1.5倍ぐらいの厚みがあり、本体のプラスチック部分がやけに目立つように思われ、そこがどうもいただけない!?

 安いには違いないが、それが如何にもと言った感じなのである。

 家人も早速そこに注目し、「父ちゃん、今度の時計、えらい大きいなあ。やっぱり安いだけのことはあるなあ。ウフフ」なんて勝手なことを言って笑っていた。

 やっぱり、誰が見てもプラスチック部分が分厚くて目立つようである。

 でもまあ、確り動いてくれれば好いとしよう。

 ともかく、私自身に大きな不満はない(※1)。

 ブルートゥーススピーカーの方は、時計と足して1万円を超えればアマゾンポイントがアップすると言うので、そうなるようにと考えて2099円で買ったもので、Muziliと書いてある。

 勿論、中国メーカーである。

 安い割に評判が好さそうなものの中から選んだ。

 結果は、スイッチを入れた時に聴こえる案内の英語が洒落ている!?

 音は重低音を売りにしているようであるが、もう少し高い物、たとえばANKERのSoundCore2(改善版)に比べるとやはり軽めである。

 中高音は割としっかり出ている。

 だから、音量を上げるとちょっと煩い!?

 でも、BGMにラジコを鳴らすと言った使い方をする分にはそんなに悪くない。

 それに、マイクロSDカード、USB入力、ステレオミニプラグによる入力も出来ることを考えると、総合して割安感はあるように思われる。

 まあ入門機としては好いのかも知れない。

 ただ、ここで止まるには時間が勿体無い!?

 折角の時間を使うのであれば、もう少し好い音で聴きたい。

 そんな気がして来た。

 と言うわけで、これも近い内にお蔵入りのような気がするなあ。フフッ。

 

        安物のスピーカ比べ機嫌好く

 

        安物のスピーカ矢張りお蔵入り

 

 かどうかはまあもう少し使ってから決めることにしよう。

 ANKERのSoundCore2(改善版)にしても実はまだ不満もあり、もう少し好い音を聴かせてくれるのかも知れないと、これからの変化に期待している(※2)。

 さて、そろそろ出る準備に入った方が好さそうである。

 昨日に続き、今日も仕事が立て込んでおり、忙しくなりそうに思われる。

 ただ昨日は、新型コロナウイルスの新規感染者が東京都の50人越えは別格として、大阪でも7人だったか!? 無視出来ない数が出ていた。

 また緊張が高まる朝となっている(※3)。

 

        じわじわと不安高まる朝となり
        覚悟を決めて動き出すかも

 

 さて、家を出た時に雨はもう小降りになっており、直ぐに止んだから、助かっている。
 今は空気全体に水分が薄く行き渡っている所為か? 生駒山の天辺まで見えている。

 今朝は冷えたこともあり、鼻がぐずぐずしていたが、通勤電車の中でも鼻水を啜る音が彼方此方でしている。

 また、きつい咳をする音も聞こえて来る。

 なんて書いている内に雨が急に強くなり、生駒山が陰り出した。

 今にも消え入りそうだ。

 何だか墨絵のように見えている。

 生駒駅で乗り換えた尼崎行きの普通電車は何時も通り空いている。

 もう一度生駒山を見ておこうと思っても、壁に隠れて見えないままに生駒トンネルに入った。

 少し物思いに耽っている内に、もう大阪側に抜けたが、空が暗い。

 今日は青空を期待出来なさそうである。

 今のところはあまり降っていないようであるが、雨を連れて来そうな湿った風が時折強く吹いている。

 石切駅を出てほどなく、あべのハルカスが遠くに陰って見えて来た。

 晴れた日には見える青銅色が今日は全く判別出来ず、周りのビルと同様にモノクロの、墨絵のような世界である。

 

        ハルカスや生駒墨絵に見せる雨

 

        ハルカスや生駒墨絵に見せる梅雨

 

        生駒山墨絵に見せる梅雨が降り

 

        ハルカスや墨絵に見せる梅雨が降り

 

 さて、そろそろ職場の最寄り駅である。

 今日の仕事の算段をしなければなあ。フフッ。

 

 その辺りまで書いて、自分なりには今日も上手く書けたと思い、慎二がしみじみとしていたら、

「おはようございま~す」

「おはようございま~す」

「おはよ~う」

 井口清隆、すなわちメルカリさんが執務室に入って来た。

 慎二はちょっと迷い、メルカリさんの方に「神の手」の液晶画面を向け、見せながら問い掛ける。

「どう、これぇ? 僕なりには今日もまあまあ上手く書けたと思うんやけどなあ・・・」

 それだけのことで小心者の慎二は、緊張が高まって頬を紅潮させ、耳たぶをひくひくさせている。

「ブログさん、相変わらず毎朝、よう精が出ますねえ。どれどれ・・・」

 気の好いメルカリさんはそう言って半分呆れ、半分感心しながら、さっと目を走らせた後、顔を曇らせた。

 それからおもむろに口を開き、

「ほんま。いやですねえ。大阪でまた新たな感染者が7人も出たんですかぁ~!?」

「そうらしいわあ~。メルカリさんとこ、子どもさんの学校とかも相変わらず緊張してるんとちゃうん!?」

「そりゃそうですけど、それだけではなくて実は母親が入院してまして、盆休みにでも帰って来ようかなあと思っていたんですけど、田舎やから、もしかしたら面会させてくれへんのちゃうかなあ、と思って・・・」

 それを聴いて慎二も長い間母親と面会させて貰えなかったことを思い出しながら、

「別に田舎に限れへんよ! 俺とこも大阪府内に居る母親に長いこと面会出来へんかったもん・・・」

「そうですかぁ~。折角収まり掛けていたのに・・・。ほんま、若い連中なんか、罹っても大丈夫とか、思ってるんでしょうね!?」

 メルカリさんは本当に迷惑そうな顔をして立ち上がり、給湯室までコーヒーを淹れに行った。

 そこに事務を担当している若い依田絵美里が熱いお茶を淹れた備前焼のぷっくりした湯飲みを持って来て、慎二の机の上にそっと置き、「神の手」の液晶画面にさっと目を走らせた。

 それから少し考え、口を開く。

「若いからって皆が安心しているわけではないんですけど、何処か軽く思っている人も増えているんでしょうね!? 外国の悲惨な状況を観ていると、そんなことはとても言えないのに・・・。それに、家族に移る危険性もあるのに、そこまでは気が回らないんでしょうね!?」

 本当にもどかしそうな顔になって、返事を待たずに離れて行った。

 聴いていて慎二ももどかしくてならなかったが、一定そんな人がいるのが普通であることをこれまでの長い人生経験で分かっているから、何とも言えない表情になって絵美里の何処か遣る瀬無さの漂う緊張気味の背中を目で追っていた。

 先輩として何も言ってやれないことがもどかしくて仕方が無かったのである。

《あ~あっ、未だ暫らくはこんな感じで減ったり、増えたり、小さな波を繰り返すんやろなあ・・・》

 言っても仕方が無いから口には出さなかったが、頭の中ではそんな風に思わずにはいられない。それがまたもどかしさを増していた。

 

        繰り返し詮の無いこと思いつつ
        またもどかしさ増して来るかも

 

《ただ、俗があれば聖もあるもんや。それが人間であることをここにいる皆、心の中では分かっているはず。若い人の中にも直接新型コロナウイルスについての対策を日々研究している人、実践している人もいる。自分達のように心の持ち様、見えない力等について研究している人もいる。それで好いし、それしか仕方が無い。自分達も焦らずに目の前のことにこれまで通り取り組んで行くだけのことやなあ・・・》

 口に出さなくても慎二は改めてそんな風に思っていた。

 

※1 幸いこの時に買った時計を今でも日々便利に使っている。すっかり慣れ、馴染んでいるので、今では上記で言っているようなデザイン、厚み等の違和感が全くない。どうやらローテク世代の私には何とかウォッチとか言われているようなiPhoneandroidスマホに繋がるような機能を持った時計の必要は無さそうである。

※2 ここで言っているMuziliのBluetoothスピーカーは普段使いに好いかと思い、職場に置いて出た。それ故もあるのか、意外と好かった印象が残っており、また買ってみようかと思っている内に見当たらなくなった。そして今日(2022年1月15日)、またAmazonで見付けたので、買おうかなあと思っている。面白いもので、直ぐに手放すと、こんな気持ちになることがある。ANKERのスピーカーも手放したが、此方は3回買い、大体の感じが分かったのか、今はそんなに惹かれない。

※3 この第2波が始まる辺りまでの小さな波は今では雑音のようなものである。たとえば新規感染者が東京で50人、大阪で7人出た日の不安な様子に付いて書いているが、第2波と第3波の間、第3波と第4波の間、第4波と第5波の間等では谷でももっと出ていたような記憶がある。慣れるとは恐ろしいものではないか!?

 

           あとがき

 

 これでこの話はひと先ず終わりである。

 話の中に始終出て来る新型コロナウイルス感染症については、暑くなって来た頃、確か5月下旬のことか? 新たな感染者が殆んど0になり、一旦収まるかと期待されたが、1か月も経たない内にまたじわじわ増え始め、私の職場がある大阪府ではこのところ連日新たに5人前後出ている。東京都ではそれが10倍になり、50人前後出ている。

 今日(7月2日)なんかは東京圏、大阪圏だけではなく、福岡県、鹿児島県等九州、北海道、宮城県等東北まで広がっている。

 要するにそう簡単には終わってくれないようである。

 それもあって、この話について何処で区切りをつけて好いのか分からなくなって来たから、取り敢えず6月一杯と言うことにしておいた。

 この後も書き続けることは可能であるが、それをすれば、もう日常になってしまうように思われるのである。そうなると惰性になってしまう。

 なんて、既にそうなっていたのかも知れないが、私としては多少意識して書いていたつもりである。その意識がある内に一旦まとまりを付けておきたくなった。

 さてタイトルの「人は見かけが9割!?」であるが、「その1」にも書いたように、吉村洋文大阪府知事の言動の好い意味における若さ、更に彼の見映えの好さ等、インパクトの強さに刺激されたのがきっかけとなっている。書き続けている内に何のことか曖昧になって来ている気がしていたので、改めて触れておく。

 その後に付いて強いて言えば、私の分身である主人公の藤沢慎二がずっと見映え、見かけ等を気にしながら生きて来たことであろうか!?

 一方で普段から、見えない世界にも強く惹かれるものを感じており、それが舞台を心霊科学研究所などと言う怪しい場所に設定している。

 この振れ幅の大きさは理屈的に言えば当たり前のことである。例えばブランコを片側に大きく振れば、もう一方にも大きく振れるものである。

 観ている分にこれは面白いかも知れないが、当事者としては結構しんどい時もある。そんなことも書いている内に表されていればと思っていた。

 何回も挿入したお話、「明けない夜はない?」はそれ自体何とかまとまりを付けたが、正直なところを言えば、藤沢慎二は私に近い分身、青木健吾はもう少し離れた分身とでもなるのだろうか!?

 何れにしても、今回日々感じていたこと、私の中に長く留まっていた思い出等を彼方此方にちりばめている気がする。

 いわば私にとっての個人的な記録にもなっている。

 そしてその過程で面白いことに、現実社会において他人との物理的な距離は確実に遠ざかっているのであるが、その分、精神的なところではかえって近付いていた面もあったように思われるのである。

 

        コロナ禍に向き合う日々を書き綴り
        我の記録にするつもりかも

 

        コロナ禍で想像付かぬ日々送り
        他人との距離が近付くのかも

 

 上にも書いたように、この騒動が何時思わるともまだまだ予測が付かないが、その過程でこれからも色々なことが起こるはずである。一先ずはそれを静かに見守りながら、また色々なことに付いてのんびりと考えてみることにしたい。

                              令和2年7月2日

 

追記

 7月10日現在のニュースを検索してみると、昨日は新型コロナウイルスの感染者が更に増え、東京都で224名、大阪府で30人、神奈川県で25人、埼玉県、千葉県で共に22人等でなっている。

 だからと言って一喜一憂しても仕方が無いのは変わらないが、冷静な分析が必要なのも同様である。

 

追記

 既に2022年1月15日となっているが、コロナ禍はまだ収まっていない。

 どころか、第5波が秋になって漸く収束に向かっているかと安心し掛けたら、海外ではオミクロン株騒ぎが大きくなり、年末年始に移動等も関係したのか、我が国では急激に第6波が立ち上がりつつある。

 例えば昨日の新規感染者数は東京で4051人、大阪で2826人も出ており、3番目が沖縄県で1596人と言う、新たな様相も示している。

 大阪府では今日、3000人を超えるような記事も出ているから、まだピークは来ていないようなのに、既にこの多さである。

 ただ、今回はその割に重傷者、死者が少ないと言い、相変わらず風邪のようなものと片付けたがる人も散見される。

 そう言えば私が通っていた職場でも新型コロナウイルスなんか風邪のようなもので、大騒ぎするのは変、と言っていた人がいたが、マスク着用、うがい、消毒等の対策をいち早く取り出したのもその人であった。

 今も動じないような意見を堂々と言い、それでマウントを取ろうとしている? 論破しようとしている? 人もいるが、そんなことはともかく、事実は事実として記録し、記憶しておきたい。