sanso114の日記

日々気になったことを気楽に書き留めています。

2020-03-15から1日間の記事一覧

はざまに揺れて・・・R2.3.15⑤

藤沢慎二が残業の手を止めて、休憩がてら行っていた夕食から職場に戻って来ると、玄関から出られなくて困っている若い女子社員がいた。 《嗚呼、今年入った子やなやあ。彼女も残業していたのか・・・。確か、橋本恭子と言う子やったなあ?》 どうやら、玄関の大…

純愛の時代・・・R2.3.15④

桐野マリモには純愛がどんなものなのか? よく分からなかった。母親の末枝はそれを、「まだ中1なのに可哀想」と言うが、今一説得力がない。 昭和40年代生まれともなると珍しい6人兄妹の末っ子で、末枝と名付けられた彼女は名前から想像出来るように、至…

間垣家の日常(6)・・・R2.3.15③

その6 大学は出たけれど・・・ 間垣武弘は幼い頃から将来に対する夢などなかった。周りの愚痴っぽく、その日その日を何とか遣り過ごしながら年を重ねて行く大人を見ていると、ちまちまと仕事をしながら生きて行くことに希望を見出せなかったのである。 武弘の…

冥王星遥かなり・・・R2.3.15②

今から大分先の頃、冥王星まで自由に行き来出来るようになっており、片道10日ほどで行ける太陽系超特急、「プルトン」も出来ていた。 技術的にはもう少し速くすることも出来るのだが、実験してみると、着いたときには向こうに居る人がかなり老いている等、…

間垣家の日常(5)・・・R2.3.15①

その5 早春の生駒に誘われて 30年ローンを組んで何とか買ったウサギ小屋のような一戸建て住宅の猫の額ほどの庭に置いた木製の長椅子に腰掛け、幾分和らいで来た寒さの中に漸く春を感じさせる生駒の山並みを見上げていると、間垣武弘はふと、 「宇宙人にあ…