sanso114の日記

日々気になったことを気楽に書き留めています。

スキージャンプW杯男子個人第20戦ピオトル・ジワおめでとう!・・・R2.2.16③

 2月14日(金)~16日(日)の日程で、時差-8時間のオーストリア、タウプリッツ&パート・ミッテルドルフ(HS235m、K点200m)においてスキージャンプ男子ワールドカップが開催され、個人の第20戦、21戦、およびそれぞれの予選が行われる予定である。

 

 一昨日予定されていた第20戦の予選は強風の為に中止となり、本戦の1本目は全員が飛ぶことになった。

 

 そして昨日、第20戦が無事行われた。

 

 元々は第22戦として予定されていたから、これで2戦ずれたことになる。

 

 優勝したのはポーランドのベテラン、ピオトル・ジワで、2位にはスロベニアの若手、ティミ・ザイツが入り、何時もと違う様相を示している!?

 

        フライング何時もと違う様相に

 

        フライング何時もと違う顔ぶれに

 

 そしてジャンプの強豪国、ポーランド選手が3人もベストテンに入っている。

 

 日本人選手としては小林陵侑(土屋ホーム)、佐藤幸椰(雪印メグミルク)、小林陵侑の兄の小林潤志郎(雪印メグミルク)、中村直幹(東海大)、佐藤慧一(雪印メグミルク)、竹内拓(飯山市)が出場した。

 

 スノージャパンのエース、小林陵侑は1本目5位に付けたが、2本目では風に恵まれず9位に沈み、師匠のレジェンド、葛西紀明に並ぶ17勝目は今回もならなかった。

 

 他に、小林潤志郎が20位、佐藤幸椰が27位に入った。

 

 残念ながら後の3人は2本目に進めなかった。

 

 個人第20戦の主な選手の結果は以下のようになっている。

 

              名前                 1本目m   得点   2本目m   得点    総合点

    1位 ピオトル・ジワ(ポーランド)             225.5    205.0    219.5    213.5    418.5

    2位 ティミ・ザイツ(スロベニア)              222.5    200.2    225.0    218.0    418.2

    3位 シュテファン・クラフト(墺)        224.5    205.9    214.5    208.7    414.6

    4位 カール・ガイガー(独)            230.0    209.3    213.0    205.2    414.5

    5位 ダビッド・クバッキ(ポーランド)     226.0    199.6    217.0    210.8    410.4

    7位 カミル・ストッフ(ポ-ランド)              217.5    185.8    231.5    215.1    400.9

    9位 小林陵侑                       224.0    199.9    207.5    197.8    397.7

  10位 マリウス・リンドヴィック(ノルウェー)      209.0    178.6    231.5    217.1    395.7 

  14位 ダニエルアンドレ・タンデ(ノルウェー)    207.0    173.6    227.5    215.6    389.2

  15位 シュテファン・ライエ(独)        208.0    175.2    226.5    210.7    385.9

  16位 ヨハンアンドレ・フォルファン(ノルウェー)    206.0    178.1    220.0    205.2    383.3 

  19位 フィリップ・アッシェンヴァルト(墺)      208.5    175.2    214.0    200.8    376.0

  20位 小林潤志郎                         201.5    175.2    209.0    192.9    368.1

  27位 佐藤幸椰                             205.0    181.7    197.0    171.5    353.2

  33位 ペテル・プレヴツ(スロベニア)          195.5    161.9                              161.9

  36位 佐藤慧一                          191.5    158.0                              158.0

  37位 竹内拓                                181.0    152.8                              152.8

  43位 中村直幹                     175.0    138.3                              138.3

 

 なお、男子の場合は一般的に予選で50位までが本番に出られ、本番の2本目に進めればポイントが貰える。

 

 スキージャンプ個人のランキングに関係するポイントは1位100点、2位80点、3位60点、4位50点、5位45点、・・・、30位1点と配分されて行き、19試合を終えて以下のようになっている。

 

        名前         総合得点
   1位 シュテファン・クラフト(墺)     1173

   2位 カール・ガイガー(独)       1095

   3位 ダビッド・クバッキ(ポーランド)    985 

   4位 小林陵侑            965 

   5位 マリウス・リンドヴィック(ノルウェー)     713

   6位 カミル・スットフ(ポーランド)       709 

   7位 シュテファン・ライエ(独)            626

   8位 ペテル・プレヴツ(スロベニア)      539

   9位 ダニエルアンドレ・タンデ(ノルウェー)     534

  10位 ピートル・ジワ(ポーランド)       496

  11位 佐藤幸椰           491

  12位 ヨハンアンドレ・フォルファン(ノルウェー)     474

  13位 フィリップ・アッシェンヴァルト(墺)    466 

  22位 伊東大貴             253  

  28位 小林潤志郎         130

  30位 佐藤慧一              82   

  36位 中村直幹                39

  43位 竹内拓              27 

  49位 岩佐勇研               14

 

 今回は7シーズン振りに優勝し、見事2勝目を上げたポーランドのベテラン、ピオトル・ジワ(33歳、176㎝、59㎏)について少し触れておきたい。

 

 前回の優勝はノルウェーオスローのホルメンコーレン大会で、ワールドカップ53勝の最多勝記録を持つレジェンド、シュリーレン・ツァウアー(オーストリア、30歳)との同点優勝であった。

 

 久々で、それも僅差とは言え、単独優勝であるから、喜びも特別なものがあるかも知れない。

 

 ともかく、今後の活躍にも注目したい。

 

 なお、第21戦は予選が17時45分頃から、本戦が19時頃から始まる予定で、本戦はCSのJスポーツで生放送が予定されている。

 

 NHK大河ドラマと何方を観るか? 迷うところであるが、取り敢えず録画予約しておいた。

 

 ラージヒルでは着地する頃に、更にノーマルヒルぐらい落ちずに飛び続けるフライングの迫力を映像でのんびり楽しみたい。

米国男子ゴルフツアー第3日目、松山英樹凄く好い感じ⁉・・・R2.2.16②

 木曜日の23時45分頃から時差-17時間の米国、カルフォルニア州にある「リビエラCC(7322ヤード、パー71)」において米国男子ツアー、「ジェネシス招待」が4日間の日程で開催され、その第3日目、すなわち決勝ラウンド第1日目が終わっている。

 

 リビエラと言うのは何でもイタリア語で海岸、湖岸、川岸等を意味し、イタリアの地中海に面したフランス辺りまでの海岸を指してもおり、景勝の地、避寒の地だそうな。

 

 この大会、「ジェネシス・オープン」と書いている記事もあったが、今シーズンから招待にランクアップしたそうで、タイガー・ウッズ基金が入って賞金もアップし、優勝すると3年間のシードが貰えると言う。

 

 日本人選手としては世界ランク23位の松山英樹が出ており、この頃では何時も通りで? 出足好調とは行かないが、何とか奮闘している。

 

 昨日はホールアウト後に熱烈歓迎? を受けて右の肩・上腕を痛めたようであるが、大事には至らなかったとの記事が出ていた。

 

 今日はその影響がどう出たのか? 出なかったのか?

 

 要注目の日になった!?

 

        松山や怪我の功名期待して

 

 その他にも猛者が一杯出ており、例えば世界ランク20位以内では15人も出ているから、かなり厚いフィールドになっている。

 

 さて、首位タイに立っているのは世界ランク14位のアダム・スコット(オーストラリア)、世界ランク1位のロリー・マキロイ(北アイルランド)、世界ランク20位のマット・クーチャー(米国)で、トータル-10まで伸ばしている。

 

 アダム・スコットは3日目6バーディー、2ボギーの-4と伸ばし、4位上げて来た。

 

 アダム・スコットがTショットを放つ姿は結構美しいらしい。

 

 解説陣が口を揃えてが感心していた。

 

 そしてこの伸ばし様、スマートな容姿、そりゃ人気が高いはずだなあ。フフッ。

 

        美ショットでトップに立ったアダムかな

 

        格好好く力も魅せるアダムかな

 

 ロリー・マキロイは3日目4バーディー、1ボギーの-3と伸ばし、1位上げて来た。

 

 久しぶりに世界ランク1位に返り咲いたローリー・マキロイは好調を維持しているようである。

 

        マキロイや好調維持し首位に立ち

 

 マット・クーチャーは3日目4バーディー。3ボギーの-1と少し伸ばし、首位を維持している。

 

        クーチャーや少し伸ばして首位を維持

 

 4位タイに付けているのは世界ランク143位のハロルド・バーナーⅢ(米国)、世界ランク252位のラッセル・ヘンリー(米国)で、トータル-9まで伸ばしている。

 

 ラッセル・ヘンリーは3日目1イーグル、3バーディー、2ボギーの-3と伸ばし、1位上げて来た。

 

 今年に入って出た3試合全てで予選落ちしているが、この大会では調子を上げて来ているようである。

 

 最終日も注目したい。

 

        ヘンリーや上位保って期待させ

 

 ハロルド・バーナーⅢは3日目6バーディー、4ボギーの-2と伸ばしたが、2位下がっている。

 

 この選手も今年に入って出た試合全て、それも4試合で予選落ちしているが、今回は好調を保っている!?

 

        バーナーや上位保って期待させ

 

 以下、気になった選手に付いて簡単に書き留めておく。

 

 世界ランク5位のダスティン・ジョンソン(米国)は3日目-4、トータル-8と伸ばし、5位上げて6位タイに付けて来た。

 

 昨日の爆発に続けて確り上げ、最終日に期待させるところは流石ではないか!?

 

        ダスティンや続けて上げて期待させ

 

 そして松山英樹は3日目1イーグル、6バーディー、1ボギーの-7、トータル-6と大きく伸ばし、46位も上げて11位タイに付けて来た。

 

 インスタート(第10ホールから)で、トータル+1で出て、前半では第10ホールでいきなりイーグル、第11ホールでバーディーを決めて期待させ、そこからが昨日とは違って第14、17ホールでもバーディーを決め、トータル-4まで伸ばして折り返した。

 

 後半に入っても調子を保ったたまま、第1、2ホールと連続でバーディーを決め、更に第6ホールでバーディーを決めた後、第7ホールではボギーを叩いたが、その後は何とかパーで凌ぎ、結局トータル-6まで伸ばして最終日へと繋いだ。

 

 怪我の功名かどうかは分からないが、肩、上腕には心配なかったようで、と言うか、かえって調子が出たようにも思えるぐらいであった。

 

 それに、直前にパターをピン型からマレット型に変更したようで、何がどう影響するのか分からず、面白いものである。

 

        松山や気持ち切り替え爆上げし

 

        松山や気持ち切り替え上げて魅せ

 

 ここで気の弱い悲観論者はこの勢いが最終日までは持たず、20位、30位に落ちると予想し、守りに入っているが、さてどうだろう?

 

 要注目である。

 

 ともかく最終日までこんな風にせよ、楽しませてくれるところが流石、松山英樹ではないか!?

 

        松山や最終日まで期待させ

 

        松山や最終日まで楽しませ

 

 それは好いのであるが、さっきCS放送ゴルフネットワークでハイライトを観ていると、「RYO IS BACK」なんて出て来た。

 

 何のこっちゃ!? と一瞬思ったが、どうやら石川遼がまた米国男子ツアーに出て来ることを言っているようだ。

 

 今のところ、マスメディアはまだ愛想の好い石川遼押しらしいなあ。フフッ。

 

 ともかく、出るのであれば注目し、応援しよう。

 

 出る前からもう騒がせているのが流石石川遼!?

 

        石川や出る前にもう騒がせて

 

 世界ランク3位のジョン・ラーム(スペイン)、世界ランク18位のブライソン・デシャンボー(米国)は3日目-2、トータル-6と伸ばし、11位タイを維持している。

 

 何方もパワフルそうな2人、まだ怖い位置に留まっており、最終日に期待させる!?

 

        ジョンラーム最終日まで期待させ

 

        デシャンボー最終日まで期待させ

 

 世界ランク21位のポール・ケイシー(イングランド)は3日目-1、トータル-5と少し伸ばしたが、6位下がって17位タイとなっている。

 

 世界ランク25位のマシュー・フィッツパトリック(イングランド)は3日目-3、トータル-4と伸ばし、12位上げて22位タイに付けて来た。

 

        じわじわとフィッツパトリック上げて魅せ

 

 世界ランク46位のラファエル・カブレラベロ(スペイン)は3日目+1、トータル-4と少し落とし、13位下がって22位タイとなっている。

 

        じわじわとカブレラベロや下がり気味

 

 世界ランク2位のブルックス・ケプカ(米国)、世界ランク19位のマーク・リーシュマン(オーストラリア)は3日目-3、トータル-3と伸ばし、17位上げて28位タイに付けて来た。

 

 首位があまり伸ばしておらず、松山英樹の爆発振りを観ても、この辺りに付けていると、最終日どうなるのかまだまだ分からない!?

 

        また浮上期待を繋ぐケプカかな

 

        リーシュマン 浮上を魅せて期待させ

 

 世界ランク9位のザンダー・シャウフェレ(米国)は3日目-2、トータル-2と伸ばし、9位上げて36位タイに付けて来た。

 

        シャウフェレや確り伸ばし上げて魅せ

 

 世界ランク6位のパトリック・カントレー(米国)、世界ランク41位のセルヒオ・ガルシア(スペイン)は3日目イーブン、トータル-2と伸ばせず、10位下がって36位タイとなっている。 

 

 世界ランク13位のパトリック・リード(米国)は3日目イーブン、トータル-1と伸ばせず、12位下がって46位タイとなっている。

 

 世界ランク10位のジャスティン・ローズ(イングランド)は3日目+3、トータル-1と落とし、35位も下がって46位タイとなっている。

 

 世界ランク12位のトニー・フィナウ(米国)は3日目イーブン、トータル+1と維持し、57位タイを維持している。

 

 ここまでは低空飛行であるが、最終日の大爆発を期待しよう。

 

        まだ魅せぬ爆発期待フィナウかな

 

 そして世界ランク8位でホストかつレジェンド、タイガー・ウッズ(米国)は、3日目+5、トータル+5と落とし、18位下がって63位タイとなっている。

 

 状況だけではなく、体力的にもきついのかも知れないが、最終日のレジェンドらしい好プレイに期待しよう。

台風一過(エピソード25)・・・R2.2.16①

            エピソード25

 

「母ちゃん、お握り2つほど作ってぇ~。それに水筒にお茶入れといてぇ~」

 藤沢浩太はテレビのBSで910に合わせ、ウェザーニュースで生駒地方の今日の天気が晴れたり曇ったりであることを確認して、予定通り、生駒山を超えて瓢箪山辺りまで歩いて行くことにした。この前の休みは矢田丘陵を越えて奈良公園まで歩いて行ったので、今回は大阪方面を散策するつもりである。

 起き掛けで聞くとはなしに2人の話を聞いていた父親の慎二は、傍に置いていたウエストポーチから小銭入れを取り出して、少し迷ってから500円玉を差し出した。

「これでマクドか吉牛にでも入れるやろぉ? ちゃんと食べやぁ~」

 浩太は急な雨や思わぬ疲労で電車に乗ることも考えて、1000円ぐらいは用意していたが、多ければより安心であるから、有り難く頂いておくことにする。

 お握りとお茶の用意が終わった母親の晶子は、高校生に対して500円では可愛そうに思ったのか、黙って300円追加してやった。もう500円としないところは小心者のでけちな慎二への気遣いである。

「有り難う。ほな行って来るわぁ~」

 浩太はご機嫌で家を出た。

 普通は友達を誘うか、何人か気になる異性も居るのだから、その内の誰かを誘うところであろうが、友達の方はともかく、異性の方に自分からアプローチする気は今のところ全くなかった。

 正確にはそう言い切ると嘘になる。誘いたい異性はいても雲の上の存在(あくまでも浩太の気持ちとしては)であるから、おいそれとは誘えないし、残りの異性は彼女らが浩太に強く惹かれているだけで、浩太にとって彼女らは特別な存在でもなかった。

 それから友達の西木優真、尾沢俊介であるが、彼らはともにそれぞれの彼女と居る時間の方が長くなっているし、偶に会うときでも、最早一緒に山登りに行くことなどなくなり、繁華街にお茶をしに行ったり、ショッピングに行ったり、都会的な雰囲気を楽しみに行くことが普通であった。

 それはまあともかく、家を出てみると、風が意外に冷たく、10月に入ったことを如実に感じさせられた。

《さて、今日はどのコースを取ろうかなあ?》

 前回は山上の遊園地を目指し、思ったより時間が掛かった。それにケーブルカーの線路に沿うコースを取ったので、大して面白味はなかった。

 少し迷った末、浩太は南生駒から西に向かって登り、暗がり峠を越えて枚岡に繋がる国道308号線にコースを取ることにした。

 奈良県側はカーブが多く、その分、傾斜が緩やかで、景色、そして空気を楽しむことが出来た。それに、暗がり峠の近くには吉本の大御所、宮川大介、花子夫婦とその弟子たちが住んでいるらしい。何処かで出会わないか? それも楽しみのひとつであった。

 東大阪市に店を構える出入りの本屋さんから大分前、枚岡から暗がり峠まで1時間半、暗がり峠から南生駒まで1時間半、計3時間のコースと聞いていたが、中学時代に鍛え込んだ脚には軽く、浩太は1時間もしない内に暗がり峠を越えた。

 暗がり峠には幾つか食堂があり、それぞれに風情がある。中には大介行き付けの定食屋があり、晶子はそこで話を弾ませて来たことがあった。何でも大介は毎日のように昼食を摂りに行っているそうで、結構理屈っぽく、想像以上に滑舌が好いようである。

 それはまあともかく、観光地値段と聞いていたので、浩太は素通りし、あっさり目的地の瓢箪山まで行ってしまうことにした。

 下りの道はほぼ真っ直ぐと思えるほどの急坂で、意外なほど細い。慣れたドライバーでないとよく道を踏み外し、脇に広がる畑等に落ちるそうだ。その割に車がよく通るので、歩いていても緊張を強いられた。遠く霞んだ下界を見下ろしている爽快感はあっても、田舎の澄んだ空気に馴染んだ浩太の目にはあまり嬉しい光景でもなかった。

 それでも、爽快感が今日の目的を思い出させてくれた。

 ここ数日、浩太の胸はどうももやもやしていたのである。

 先週の休みからであった。弓道部主顧問の左近寺周平とその妻芙美子、それに左近寺の弟子で矢張り弓道部顧問の安曇昌江を奈良市にある弓道場の大会で見てから、左近寺にあった邪念の方の心配は振り払われたが、昌江の方の心配が新たに生じた。噂の原因は左近寺の一方的な邪念によるもので、昌江は弟子故遠慮がちに断わっていただけ、と浩太は思い、安心し掛けていたのに、昌江の様子を見ていると、どうも違ったようだ。時々にあった憧憬の念を持って見上げる瞳の奥がきらりと光り、むしろ左近寺の方が穏やかで落ち着いていたように思えたのである。

 宇宙まで行かなくても、日々見慣れた低い山の上から少し下界を見下ろすだけでも効果はあったようだ。浩太は独り相撲ばかりしている自分が馬鹿馬鹿しくなって来た。考えてみれば昌江の気持ちなど少しも聞いたことがなく、勝手に舞い上がり、疲れて冷めた後、迷いに迷った末、狭い経験から結論を導き出しては落ち込んでいた。その一体何処に真実があると言うのか!?

《ともかく、今自分は安曇先生のことが好きやし、弓道も好きやぁ~。それだけは本当やから、今はそれで好い。一緒に弓道を楽しめればそれで十分やないかぁ! 将来のことはまだ分からへん。分からへんけど、真面目に生きとったら、結果はどうあれ、きっと受け入れられるはずやぁ》

 自分勝手に欲望を満たす気もなかったから、浩太はすっきりした気分で枚岡神社の境内に入った。

 この辺りでもまだ見晴らしがよく、人生の大問題である異性のことが取り敢えず腑に落ちた慎二は、今度は将来のことへと思いを馳せた。
 2年生からのコース選択に絡めて大学への進学か就職かで多少揺れていたのであるが、どちらの道も先はまだまだ闇の中である。

《嗚呼、どうしたらええんかなあ~? 母ちゃんはできたら大学に行く方がええ、言うし、父ちゃんはどっちでも好きなようにしたらええ、と言うけど・・・、先が分からへんから、どちらが好きかも分からへん。勉強は好きやないからこのまま何も考えんと大学に行くのもどうかと思うし、でもしたい仕事があるわけでもない。それで決めてしもて一生その仕事をするのも何か変な気もする・・・。嗚呼、俺は一体どうしたらええんかなあ~?~ どうしたいんかなあ~?》

 そう思い悩んだ振りをしている内に(実際には見晴らしの好さ、好い空気に十分癒され、心地好い幸福感に包まれていたから、気持ちは大分軽くなっていた)、クラスメイトの柿本芳江のことが思い出された。

《そう言うたらあいつの悩みもこの頃は大したことなさそうやなあ~。相変わらず深刻そうなことを言うてることもあるけど、俺と話しててもにこにこして、何やファッションのような気もするし・・・。ほんまに悩んでたとしても、精々このぐらいのところから下界を見下ろしてたら十分癒されそうな気がするなあ~。フフッ》

 そんな風に思え、今度来るときには芳江を誘ってやっても好い気がして来た。独りでも寂しくはないが、横に芳江が居ても悪くない気がして来たのである。

 境内に聳える杉を見上げると、木漏れ日がキラキラと美しかった。

 深呼吸すると秋の冷ややかな空気が気持ち好く、浩太は自分が凄く正しい判断を出来ているように思え、更に幸福感が増して来た。

 下界に降りて、瓢箪山の商店街に入った浩太は現実感が増し、何時も通り慎二譲りの小心者に戻った。駅近くにスーパーを見つけたので辛ラーメンカップを買い、お湯を入れて貰った。それとお握りで昼食を済ませて、残りは貯めておいて模造刀かゲームソフトを買う資金の足しにする積りである。デート代とは露ほども思わないところは相変わらずであった。

 その後、枚岡神社を目指して戻り始め、途中の適当なところで昼食を摂るつもりにしていたが、探すと中々見当たらず、結局枚岡神社まで戻ることになった。

 伸び切った辛ラーメンは少しも締まらず、冷えたお握りとの相乗効果で気持ちの悪い満腹感を与えただけであった。腹は充ちても少しも満足感が得られなかった。

 それからの行程はただ帰る為だけにあったようで、少しも気持ち好くなかった。

《あ~あっ、下手にけちらんといたらよかったなあ~》

 浩太は時々競り上がって来る嘔吐感を何とか抑えながら、重い足取りで暗がり峠を越え、南生駒を目指した。

 この間ずっと残っていた気持ち悪い満腹感は、小学校6年生から中学校2年生にかけての思春期真っただ中にあった自分を思い出させ、何だかおかしかった。頭の中は一杯詰まっているようで、もう何も入らないぐらいなのに、何も見えず、何も考えられない。勿論、勉強なんか手に付くはずもない。綿か雲みたいなもので満たされているような混沌とした気持ち。今日はお腹の中がちょうどそんな感じだったのである。

《やっぱり独りで好かった。こんな恰好悪いとこ、何ぼ気安くなった芳江にでも見せられへんわぁ~》

 振り返ると生駒山に黒い雲がかかっており、ぱらぱらと数滴、雨が落ちて来た。

 それに、ただ見られたくないだけではなく、もう少しの間、変わり易い自分の気持ちや秋の澄んだ空気の変化を独りでじっくり楽しんでいたい気がして来た。

 

        散策し気持ちの整理付けながら

        秋の変化を楽しむのかも

米国男子ゴルフツアー第2日目、松山英樹何とか・・・R2.2.15②

 木曜日の23時45分頃から時差-17時間の米国、カルフォルニア州にある「リビエラCC(7322ヤード、パー71)」において米国男子ツアー、「ジェネシス招待」が4日間の日程で開催され、その第2日目、すなわち予選ラウンド最終日が終わっている。

 

 リビエラと言うのは何でもイタリア語で海岸、湖岸、川岸等を意味するそうで、イタリアの地中海に面したフランス辺りまでの海岸を指してもいるそうな。

 

 景勝の地、避寒の地だと言う。

 

 この大会、「ジェネシス・オープン」と書いている記事もあったが、今シーズンから招待にランクアップしたそうで、タイガー・ウッズ基金が入って賞金もアップし、優勝すると3年間のシードが貰えると言う。

 

 日本人選手としては世界ランク23位の松山英樹が出ており、この頃では何時も通り? 出足好調とは行かないが、何とか奮闘している。

 

 その結果の世界ランク23位であるから、今回も期待しながら応援しよう。

 

        松山や重い出足も後期待

 

 その他にも猛者が一杯出ており、世界ランクの高い選手を挙げておくと、5位以内では1位に上がったローリー・マキロイ(北アイルランド)、2位に下がったブルックス・ケプカ(米国)、3位のジョン・ラーム(スペイン)、4位のジャスティン・トーマス(米国)、5位のダスティン・ジョンソン(米国)と5人全員入っている。

 

        マキロイや世界のトップ維持期待

 

        返り咲く元気を期待ケプカかな

 

        爆発の元気を期待ラームかな

 

 ジャスティン・トーマスは珍しくソニー・オープンで予選落ちしているが、それ以外では1位、3位と相変わらず春先は調子が好さそうだが、出足の悪そうな今回はどうなるか!?

 

        トーマスや出足の悪さ揺れる春

 

 ダンスティン・ジョンソンはサウジアラビアで開催された欧州男子ツアーに出たり、彼方此方でしっかり稼いでいる。

 

 今回も得意の爆発力を見せてくれるか!?

 

        ジョンソンや爆発力を期待して

 

 世界ランク6~10位では6位のパトリック・カントレー(米国)、8位のタイガー・ウッズ(米国)、9位のザンダー・シャウフェレ(米国)、10位のジャスティン・ローズ(イングランド)と4人入っている。

 

 世界ランク11~15位では12位のトニー・フィナウ(米国)、13位のパトリック・リード(米国)、14位のアダム・スコット(オーストラリア)と3人入っている。

 

 そして世界ランク16~20位では18位のブライソン・デシャンボー(米国)、19位のマーク・リーシュマン(オーストラリア)、20位のマット・クーチャー(米国)と3人入っている。

 

 さて、単独首位を維持しているのはマット・クーチャーで、2日目4バーディー、2ボギーの-2、トータル-9と伸ばしている。

 

        クーチャーや普通に伸ばし首位を維持

 

        クーチャーや力を魅せて首位を維持

 

 2位タイに付けているのはロリー・マキロイ、世界ランク143位のハロルド・バーナーⅢ(米国)、世界ランク174位のワインドハム・クラーク(米国)で、トータル-7まで伸ばしている。

 

 ロリー・マキロイは2日目6バーディー、2ボギーの-4と伸ばし、5位上げて来た。

 

 流石!

 

        マキロイや既に怖さを漂わせ

 

 ハロルド・バーナーⅢは2日目5バーディー、2ボギー、ワインドハム・クラークは
2日目6バーディー、3ボギーで、共に-3と伸ばし、2位を維持している。

 

 以下、気になった選手に付いて簡単に書き留めておく。

 

 アダム・スコットは2日目-7、トータル-6と大きく伸ばし、60位も上げて来た。

 

        スコットや爆発力を魅せて上げ

 

        スコットや爆発力で上げて魅せ

 

 世界ランク46位のラファエル・カブレラベロ(スペイン)は2日目-2、トータル-5と伸ばしたが、2位下がって9位タイとなっている。

 

 ダスティン・ジョンソンは2日目-5、トータル-4と大きく伸ばし、54位も上げて11位タイに付けて来た。

 

 この選手も時折見せる爆発力が魅力である。

 

        ダスティンや爆発力で上げて魅せ

 

        ダスティンや爆発力を魅せて上げ

 

 ジョン・ラームは2日目-3、トータル-4と伸ばし、22位も上げて11位タイに付けて来た。

 

 まあ小爆発だなあ。フフッ。

 

 それでもここまで上げて来て、この後の展開が大いに楽しみになって来た!?

 

        ジョンラーム後の展開期待させ

 

 ジャスティン・ローズ、世界ランク21位のポール・ケイシー(イングランド)は2日目-2、トータル-4と伸ばし、6位上げて11位タイに付けて来た。

 

 このイングランドコンビ、中々の猛者である。

 

        英国の力を魅せるローズかな

 

        ケイシーや英国パワー魅せて上げ

 

 ブライソン・デシャンボーは2日目-1、トータル-4と少し伸ばしたが、4位下がって11位タイとなっている。

 

 パトリック・カントレーは2日目+1、トータル-2と少し落とし、19位下がって26位タイとなっている。

 

 世界ランク25位のマシュー・フィッツパトリック(イングランド)は2日目-1、トータル-1と少し伸ばし、8位上げて34位タイに付けて来た。

 

 パトリック・リードは2日目+2、トータル-1と落とし、27位も下がって34位タイとなっている。

 

 ザンダー・シャウフェレは2日目-1、トータルイーブンと少し伸ばし、20位も上げて45位タイに付けて来た。

 

        シャウフェレや実力発揮上げて魅せ

 

 マーク・リーシュマンは2日目+1、トータルイーブンと少し落とし、12位下がって45位タイ45となっている。

 

 ブルックス・ケプカ、タイガー・ウッズは2日目+2、トータルイーブンと落とし、28位も下がって45位タイとなっている。

 

 トニー・フィナウは2日目イーブン、トータル+1と維持し、8位上げて57位タイに付けて来て、ぎりぎりで予選を通過している。

 

 更にこの後、得意の爆発力を魅せられるか!?

 

        通過して期待膨らむフィナウかな

 

 そして松山英樹は2日目1イーグル、2バーディー、5ボギーの+1、トータル+1と少し落とし、15位下がって57位タイとなり、ぎりぎりで予選を通過している。

 

 アウトスタート(第1ホールから)で、トータルイーブンで出て、前半では第1ホールでいきなりイーグル、第3ホールでバーディーを決めて期待させたが、第4、6、9ホールとボギーとを叩いて貯金を吐き出し、伸ばずにトータルイーブンのままに折り返した。

 

 後半に入っても調子を落としたまま、第14、17ホールとボギーを叩いたが、何とか第18ホールでバーディーを決め、結局1打落としただけで決勝ラウンドへと駒を進めた。

 

        松山や期待繋いで決勝へ

        松山や少しは戻し決勝へ

 

 世界ランク38位のジェイソン・デイ(オーストラリア) はトータル+2で69位タイ、ジャスティン・トーマスはトータル+3で86位タイとなり、残念ながらcutの憂き目に遭った。

台風一過(エピソード24)・・・R2.2.15①

             エピソード24

 

 尾沢俊介は時々父親の良治のことが分からなくなる。と言うか、原因はずっと前に若い男と手に手を取って逃げた母親の芙美子にあると思っているが、なぜそれが今でも変わらぬ強さで迫って来るのか? それが理解出来ないし、理解したくもなかった。

 夏休みが過ぎたばかりで、朝夕に多少の秋らしさが見えて来たとは言え、まだ昼間の格好のまま居られないほどではない。ただ、それなりに立派な家があるのに、こんな郊外の住宅地内にある公園のベンチで独り過ごすのが惨めだし、寂しいだけであった

《さて、どうしたものかなあ?》

 考えるほど選択肢があるわけではなかった。最近付き合い出したばかりの彼女の西野玲奈は、簡単には一緒に外泊してくれそうにない。話を持ち出そうとさせない絶妙のタイミングで、何時も微妙な用事を持ち出して、明るい内に怖いように帰って行く。良治の芙美子に対する理不尽さがトラウマとなり、今も現在進行形として時々意識させられているから、先に迫られたとは言え、自分も好きになりかけている玲奈に無理強いはしたくはない。それに、彼女の家は6畳と4畳半の2間っきりの安アパートに母親と彼女を含めて3人の子どもの計4人が寄り添うように暮らしている。事情が分かれば余計に、それ以上迫ることなど出来なかった。

 と言うわけで、当座の仮の宿を数少ない親友の中から選ぶことになるが、優等生で裕福な家庭の西木優真か、おっとりしたところがあり、狭いにしても6畳の自室を与えられた藤沢浩太に頼むことになる。

 優真は親友であるだけではなく、幼馴染みでもあるから、嫌いなわけはない。ただ、男同士としてあんまり頭を下げたくはなかったのである。

 勉強では全く敵わないし、スポーツでも全範囲を考えれば、勝負にならなかった。優真はゆったりと大柄で、筋力、持久力共に優れていたから、小柄で敏捷な俊介が対抗出来る種目はそんなに多くはなかった。

 では、男振りの方はどうだろう?

 こればかりは趣味の問題が入るから俄かには決めかねるが、例えばバレンタインデーに貰ったチョコレートの個数とその内の手作りの個数を指標に取ると、勝ったり負けたりであった。今春について言えば、俊介の場合、15個貰い、その内の手作りは3個であった。優真の場合、13個貰い、その内の手作りは5個で、しかも圧倒的にの手間暇が掛かっているように見えた。打率にして2割ちょうどと3割8分強であるから、やけに差が際立つ!?

《しかし男の値打ちとは、そんな風に後から人間が決めた価値観だけでは測れないところがあるはず・・・。そこまで入れたら俺は優真に決して負けてはいない!》

 要するに、動物の雄として競り合うものを強く感じていたのである。

 それに対して浩太には、そんな部分を少しも感じさせられなかった。成績の悪さ、スポーツでの中途半端さを取ったら、むしろ優真とよりはずっと近いはずなのに、男同士としての競り合うような緊張感が全くと言っていいほどなかった。

 どうやら浩太は俊介と優真の間の緩衝材となっていたようである。居ても会話の中に入ることはあまりなかったが、居ることで俊介と優真の会話が何となく円満になり、妙にぎくしゃくしたり、変に尖ったりしなかったのである。

 と言うわけで、束の間の休息の場所を借りる為の答えは端から決まっていたが、

《でも、どうしょうかなあ? やっぱりぃ~、優真のところの方が足を伸ばせるだろうしあ・・・》

 最後に形だけの葛藤をして見せた。そうすることで、俊介はせめてものプライドを守りたかったのである。

 一方浩太は、俊介がクラブをさぼったことにより良治からきつく叱られ、家を叩き出されて、既に2日も野宿していることに胸を痛めていた。

「なあなあ、母ちゃん。俊介の奴、また家から叩き出されよってん。出来たら泊めたってくれへんかぁ~?」

「ええけど、今度は一体どうしたん? なあ、父ちゃん、ええやんなあ~?」

 母親の晶子も気になっていたので、出来れば泊めてやりたかった。それと母親らしい心配が先に出て、形だけの大黒柱である慎二への気遣いは最後になった。

「別にええけど・・・、布団あんのんかぁ~?」

 慎二としてもかなり気にしていたので、快く引き受けてやりたかったが、矢張り晶子の切り出し方にちょっと引っ掛かった。それだけのことで、全く他意はなかったが、渋面を作って、大したことがないことを、さも難しい問題のように聞いた。

「大丈夫、大丈夫。まだ暑いし、雑魚寝でも何でもええねん。夜露さえ防げれば・・・。ほな、ええなあ。浩太、早よ俊介君に電話したりぃ~」

 晶子は慎二の最終的な答えを聞く前にさっさと決め、話をどんどん進めてしまう。何をしようが、どうせ愚図愚図言うに決まっているし、晶子の決定に逆らうことはまずないから、結局それで支障ないのである。それが分かるぐらい夫婦としての歴史を共に歩んで来た。

 さて形はどうあれ、俊介は浩太の家に快く迎えられ、間に1日置いて3日ほど過ごしたが、勝手知ったる我が家のようなもの。これまではあまり顔を合わせていない慎二の存在が多少気にかかっただけで、それも慣れればどうと言うこともなかった。全体に緊張感のない家で、許されれば幾らでも居られそうであるが、ある意味、怖くもあった。自分が大事にしている矜持と言うものまでどうでもよくなってしまいそうな気がして来たのである。

 そうこうしてやり過ごしている内に、兄の壮介から電話が入った。

「どうや、元気にやってるかぁ~?」

「まあぼちぼち・・・。ところで、父ちゃんはどう。機嫌直したかぁ~?」

「漸く素面のことも増えて来て、どうやら、お前には悪いことをした、と思い始めたようやでぇ~」

「ほんまかぁ~? 前にそんなん言うたからと安心して帰ったら、今度は蹴られたことあるでぇ。あのときは血ぃ吐いたわぁ~」

「ところで・・・、指の方、大丈夫かぁ~?」

「いや、指2本、折れてしもた。でも、こんなん軽い方やわぁ~」

「まあそやけど、相変わらず酷いなあ・・・。わかった。それも言うて、反省してもらうから、もう少し待ってた方がええでぇ~」

「分かった・・・」

 浩太は傍で聞いていて、我が身を振り返り、改めて我が家の気楽さを思った。

 反対に俊介は、壮介の声を聞き、父の話を聞いて、妙に懐かしくなって来た。

 家族とは一体そう言うものだろう。愛憎悲喜交々、あらゆるシーンを共に過ごして来て、それぞれに作られた歴史、そして空気がある。おいそれと何処かの歴史や空気と取り換えられるものではないのである。

 

        家族には愛だけでなく憎もあり

        遣り取りしつつ深くなるかも

米国男子ゴルフツアー初日、マット・クーチャー好い感じ⁉・・・R2.2.14②

 昨日23時45分頃から時差-17時間の米国、カルフォルニア州にある「リビエラCC(7322ヤード、パー71)」において米国男子ツアー、「ジェネシス招待」が4日間の日程で開催され、その初日が終わっている。

 

 リビエラと言うのは何でもイタリア語で海岸、湖岸、川岸等を意味するそうで、イタリアの地中海に面したフランス辺りまでの海岸を指してもいるそうな。

 

 景勝の地、避寒の地だと言う。

 

 この大会、「ジェネシス・オープン」と書いている記事もあるが、今シーズンから招待にレベルアップしたそうで、タイガー・ウッズ基金が入って賞金もアップし、優勝すると3年シードが貰えると言う。

 

 日本人選手としては世界ランク23位の松山英樹が出ている。

 

 その他にも猛者が一杯出ており、世界ランクの高い選手を挙げておくと、5位以内では1位に上がったローリー・マキロイ(北アイルランド)、2位に下がったブルックス・ケプカ(米国)、3位のジョン・ラーム(スペイン)、4位のジャスティン・トーマス(米国)、5位のダスティン・ジョンソン(米国)と5人全員入っている。

 

        マキロイや首位返り咲き維持期待

 

        首位奪い返すか期待ケプカかな

 

        爆発の力を期待ラームかな

 

 ジャスティン・トーマスは珍しくソニー・オープンで予選落ちしているが、それ以外では1位、3位と相変わらず春先は調子が好さそうだ。

 

        トーマスや調子の好さを魅せる春

 

 ダンスティン・ジョンソンはサウジアラビアで開催された欧州男子ツアーに出たり、彼方此方でしっかり稼いでいる!?

 

        ジョンソンや欧と米にてよく稼ぎ

 

 世界ランク6~10位では6位のパトリック・カントレー(米国)、8位のタイガー・ウッズ(米国)、9位のザンダー・シャウフェレ(米国)、10位のジャスティン・ローズ(イングランド)と4人入っている。

 

 世界ランク11~15位では12位のトニー・フィナウ(米国)、13位のパトリック・リード(米国)、14位のアダム・スコット(オーストラリア)と3人入っている。

 

 そして世界ランク16~20位では18位のブライソン・デシャンボー(米国)、19位のマーク・リーシュマン(オーストラリア)、20位のマット・クーチャー(米国)と3人入っている。

 

 さて、2位以下を引き離していきなり単独首位に立ったのはマット・クーチャーで、7バーディーの-7と伸ばしている。

 

        クーチャーや意気なりダッシュ首位に立ち

 

        クーチャーや飛び出して魅せ首位に立ち

 

 以下、気になった選手に付いて簡単に書き留めておく。

 

 ロリー・マキロイ、パトリック・カントレー、パトリック・リード、ブライソン・デシャンボー、世界ランク38位のジェイソン・デイ(オーストラリア)、世界ランク46位のラファエル・カブレラベロ(スペイン)は-3で7位タイに付けている。

 

        マキロイや調子好さ魅せ首位を追い

 

 ブルックス・ケプカ、タイガー・ウッズジャスティン・ローズ(イングランド)、世界ランク21位のポール・ケイシー(イングランド)は-2で17位タイに付けている。

 

        マキロイに負けじと伸ばすケプカかな

 

 ジョン・ラーム、マーク・リーシュマンは-1で33位タイに付けている。

 

 時に大爆発をして追い上げを見せるジョン・ラームは序盤これぐらいの位置に居る方が面白いかも知れない。

 

        追い上げの期待を残すラームかな

 

 そして松山英樹、世界ランク25位のマシュー・フィッツパトリック(イングランド)はイーブンで43位タイと少し出遅れている。

 

 松山英樹はインスタート(第10ホールから)で、前半では第11ホールでバーディーを決めて期待させたが、第14ホールでダブルボギー、第15ホールでボギーを叩いて2打落とした。

 

 後半に入って第2、3ホールと連続でバーディーを決めてイーブンに戻し、今日へと気持ちを繋いだ。

 

        松山や遅れ戻して期待させ

 

        松山や凹み戻して二日目に

 

 ダスティン・ジョンソン、ザンダー・シャウフェレ、トニー・フィナウ、アダム・スコットは+1で65位タイと出遅れている。

 

 そしてジャスティン・トーマスは+3で97位タイと大きく出遅れている。

 

 と言っても、時に大爆発を魅せて追い上げるので、予選落ちについてそんなに心配はしていない!?

 

台風一過(エピソード23)・・・R2.2.14①

             エピソード23

 

 朝夕漸く涼しくなって、秋の気配が感じられるようになったある日曜日、藤沢浩太は奈良公園をふらふら歩いていた。南生駒にある家から矢田丘陵を横断して奈良盆地に入る国道308号線(旧暗がり街道)を通れば、30分ほどで大和郡山まで出られるから、それを弾みにあと1時間ほど歩いて遥々やって来たのである。

 中学校2年生になって、父親の慎二の許可もそこそこに、なし崩し的に模造刀を買い始めてからもう2年になる。家には既に10振り以上あり、その内の半分以上は大仏殿前にある鹿野屋で買ったから、浩太にとって奈良公園はすっかり馴染みの場所になっていた。

《それにしても、中学校2年生になったばかりの自分に、なし崩しとは言え、よく許してくれたもんやなあ~》

 浩太は時々振り返り、《分岐点はあの頃にあったのか》と、懐かしく思う。

 小学校5年生の後半の苛めが原因で始まった穴ごもり生活を6年生になるのをきっかけに抜け出せたときは、ただ抜け出ただけのことであった。全てが止まってしまったかのようで、歴史以外の勉強が全く手につかなくなった。歴史だけは引きこもり中に熱中し出した韓国時代劇やNHKの大河ドラマのお陰で、偏りはあるにせよ、グッと理解が深まったのである。

 元々我が国の城、甲冑、刀剣、弓矢、槍等に興味がある方だったから、染まり出すと早かった。慎二が持っていた木刀を欲しがり、流石にこれは許されなかったが、余っていた布切れ、肌布団、ダンボール等、何でも利用して甲冑、武器らしき物を作った。いびつなそれらを得意そうに身にまとい、腰に子ども用の短いビニール製の刀を差した様子は笑うに笑えず、慎二としてはどんな顔をすれば好いのか、判断に迷った。

 しかしこの時点でまだ慎二は、浩太に模造刀を許す気はなかった。鈍重そうな体型に、醸し出しているつんのめるような危なっかしい雰囲気。このまま家の中で好きなようにさせておくに限る・・・。

 中学校に上がってサッカーを始め、見る見る贅肉が落ち、背が伸びた。

 落ち着いた友達、西木優真や尾沢俊介を連れて来るようになり、自作の甲冑や武器もどきを見せて、冷ややかな反応が結構身に応えたようで、以後はそれらを押し入れの奥にしまい込んだ。

 クラブに自由時間のほとんどを取られるようになり、あまり顔を合わさなくなったので、癇に障らなくなったことも大きいかも知れない。父親にとって長男とは愛憎悲喜交々、濃過ぎる関係なので、少し離れたぐらいがかえっていい関係を保てる。これは夫婦にとっても同様で、新婚時代はともかく、安定期(倦怠期とは言わないことにしよう)に入ったら、何でも一緒にするより、それぞれの時間や空間、更にできれば趣味も持った方が好い。

 それはまあともかく、何にでも適齢期というものはあるようで、それも決まって突然のように訪れる。浩太の場合もそうであった。

 中学校に上がって1年を何とか終えたある日の夕食後、ちびちびとお茶を楽しんでいた慎二と母親の晶子に向かって、

奈良公園まで独りで遊びに行きたいねん。小遣いだけでは足らんから、お年玉の貯金から下ろして行くわなあ~」

 と、半ば宣言するような口調で言ったとき、あっさりと許され、鹿野屋で買ったアウトレットの模造刀を嬉々として持ち帰ったときも、とうとう買ったなあ、という感慨深い顔で迎えられただけで、何も言われなかった。

 後から慎二に聞いたら、「もう大丈夫やという気がしたんやぁ~」と言われただけであるが、浩太は自分でもストンと落ちた気がした。自信があったからこそ、強気になれたのだ。

 以後は何とかなりそうなお金が算段できる度に、奈良、大阪、更に京都、神戸まで足を延ばした。

 彼方此方で色々比べた結果、鹿野屋で買うことが圧倒的に多くなっているが、比較検討出来たことで楽しめたし、目が肥えたようで、これも浩太に自信を与えていた。

 今の目で見ただけでも、初めて買った商品が如何にいい加減であったか、一目瞭然であった。刃のメッキの剥がれはもちろんのこと、鯉口が痛んでがばがばになり、紐が日に焼けすぎて色褪せていた。それに目釘がいい加減で、ちょとどころか、すぐにがたが来て、禄に振ることができなくなった。

 2回目に行ったとき、中学生相手に流石に悪かったと思ったのか、奥から箱に入った新品を出して来て、かなり負けてもくれた。

 それこれも、今では浩太にとって好い思い出となっている。それ以前のことは霞み、自分の馬鹿さ加減、頼りなさが多少恥ずかしく思われるぐらいであった。

 そして、回数はともかく、浩太をグッと精神的に大人のレベルに近づけてくれたのは、矢張り謎の中国武術家、周豪徳こと田島一平との出会いであった。

 走馬灯のように脳裏を巡るこの2年間の思い出に浸っている内に、浩太は知らない道に迷い込んでいた。

《そう言えば、何だか寂しい気がすると思えば、彩りが足りなかったんやなあ。女の子に興味を示さへんからと言って、母ちゃんや父ちゃんが不思議がってたけど、別に興味がないわけやない・・・。今までに興味を持てる女の子がいなかっただけのことやぁ~。なんて言ったら偉そうか。ハハハハハ。正直なところ、自分のことで精一杯やぁ~。まだそんな余裕、ないわぁ~》

 自分はまだ恋愛に関して適齢期ではない。そう思い込んで安心しようとしたが、そうは問屋が下さなかった。それはもう理屈を超えた世界で、弓道部顧問、安曇昌江への抗い難い思いであり、それこそ本物の恋、突然の適齢期であった。

 収拾がつかなくなった胸の内を何とか収めようともがいている内に、更に迷い込み、気が付いたら、目の前に奈良市営の古びた弓道場があった。

 黒ずんではっきり見えないが、渋い崩し字で書かれた名札が掛かっている玄関の脇に立て看板が置かれ、「遷都1300年祭協賛 古都杯シニア弓道大会」とあった。
《そう言えば、今日。左近寺先生がこの大会に出る言うてたなあ。安曇先生を応援に来てくれ、と言って誘ってたし・・・。安曇先生はチラッと俺の方を見て、あんまり乗り気やなさげやったけど、来てるんやろかぁ~?》

 さも今思い出したようにしているが、実はこのことが気にかかっていたからこそ、わざわざ徒歩で山越えまでしてやって来たのだ。
《せっかく来たんだし、まあ覘いて行くかぁ~》

 大会の方は流石にベテラン勢揃い。力強さはなくても、動きが道理に適っており、渋く、雅であった。その中で左近寺は昔取った杵柄故か、正確さ、美しさ、力強さ、どれをとっても抜きん出ていた。何時もの下卑たオヤジ臭さからは想像もつかない凛としたオーラが漂っていた。

 そして、やっぱり・・・。

 昌江が付き添い、甲斐甲斐しく補助を務めていた。見詰める目も真摯で、明らかに師に対する敬愛がこもっていた。

 でも、淫靡な部分が少しもない。師と弟子である前に男と女であったら当然あるべき部分が全く見当たらなかった。

 張り詰めた空気のまま、左近寺の独り舞台に終わり、昼になった。左近寺は昌江が差し出したタオルで、緊張が解けてようやく吹き出て来た汗をぬぐい、キラキラ光る青年の目になっていた。

 そこに、左近寺より一回りは若そうな妙齢の女性が近付き、お弁当を差し出しながら、

「あなたは昌江さんと召し上がるぅ?」

「いや、お前も一緒に食べよう」

「でも、お邪魔じゃない?」

「そんなこと、奥様・・・。久しぶりに3人で一緒に食べましょう」

 昌江はむしろ助かったように言った。

 左近寺もあっさりと、

「ほら、一緒に食べたらいいじゃないかぁ~。前はよく一緒に食べてたんだから、別に気を遣わないだろぉ?」

 その女性は安心したような、困ったような顔をして、結局、2人に従った。

 昌江と左近寺だけかと思っていた浩太は、一瞬何のことかと訳が分からなくなりかけたが、どうやら左近寺の妻の京子が弁当を持って来ただけのことらしい。

《と言うことは、もしかしたら不倫相手の安曇先生と鉢合わせ!? これは一体どうなるんやろぉ~?》

 浩太は要らぬ心配をしかけたが、そんな雰囲気は微塵もなく、師とその妻、そして弟子の睦まじい関係、それ以上でもそれ以下でもなかった。

 実際、左近寺からは要らぬ垢が落ち、昌江とより、むしろ京子との間に新たな蜜月を迎えたような甘い空気はあった。それはうまく溶け合っている夫婦のみが持つ、円満なエロスであるから、ごく自然で、淫らさとは対極にあるものであった。

《どうやら、みんなが勝手なことを噂しているだけで、安曇先生と左近寺先生は単に弟子と師の関係やったんやなあ~。それも家族ぐるみで・・・》

 浩太は胸を撫で下ろしていた。

 本当は左近寺から憑き物が落ちたように変な欲望が消え失せ、弓道、そして家庭に目が向いただけのことであった。

 しかしそれが迷いを取り去り、今日の左近寺は達人のオーラを醸し出していたから、昌江にとってまた憧れの対象に戻ったかのようであった。それを直接目にしていただけに、ある面、浩太にとっては余計に不安が大きくなったと言えなくもなかった。

 

        達人の空気を醸す師を仰ぎ

        弟子の瞳が輝くのかも