sanso114の日記

日々気になったことを気楽に書き留めています。

人は見た目が9割!?(最新版その33)・・・R3.12.26①

            その33

 

 令和2年6月3日、水曜日の朝のこと、藤沢慎二は何時も通り今の職場である心霊科学研究所東部大阪第2分室に7時50分頃に着き、玄関ホールの受付前に設置してあるタイムレコーダーにICチップ入りの職員証をスリットした後、直ぐそばに置いてあるアルコール消毒液を掌に溢れんばかりにたっぷりと取り、その中で手指を曲げたり、伸ばしたり、擦り合わせたり、爪の間にも染み込むように掌でトントンしたりして、丁寧過ぎるぐらい念入りに消毒する。

 この消毒液は大分前から置いてあり、来客も含めてそこを通る人の皆が日に数回ずつは使う所為か? この頃は何だかやけに減りが早いように思われる。幾ら呑気で不精者の慎二でも気になって一旦使い始めると、そうしないことが結構大きな不安になって来るのであった。慎二はそれぐらい小心者で、同調圧力に弱いタイプでもあった。だからついでに洗面所に寄って、何回もうがいをしておく。

 そんな一定の安心感が得られる程の儀式的なことまで済ませ、ふぅーふぅー言いながら階段を3階まで上がり、割り当てられた執務室に入って来たら、既に正木省吾、すなわちファンドさんが来て居り、ちょっと古めのiPhoneの端に何本もひびが入った液晶画面を食い入るように見詰めてはぶつぶつ独り言ちながら、頻りにメモを取っていた。

「おはよ~う」

「おはようございま~す」

 ごく習慣的な挨拶を交わした後、我が国では国民性から来る生真面目さが功を奏したのか? 急速に新型コロナウイルスの新規感染者数が減少していること、全国的に緊急事態宣言に続いて休業要請も解除されている所為で、今度はこれまでの不満が噴き出すかように気の緩みが出始めたのか? 福岡県、神奈川県、東京都、北海道等と、広範囲に亙って新規感染者がまだ中々0にはならず、時には増えたりもしていること、大阪でも難波、梅田等の繁華街で人波が増えていること、通勤電車や駅に学生が見られるようになり、程々に混んでいるときも増えたこと、ファンドさんの一番の関心事である株価には相変わらず世界的に大きな変動が起こっていること等、一頻り世間話をし、慎二は自前の中古ノートパソコン、「神の手」をおもむろに開いた。そして、上手く書けたと思う時は即座にブログにアップ出来るように、そばにはテザリング用に格安のSIMを挿したスマホまで用意しておく。

 他人の目を意識して個人的なことを含めて何処まで書くか何か迷うところでもあったのか? その後は暫らく考え、それからおもむろにメインに使っているスマホを取り出し、通勤電車の中、乗換駅での待ち時間、徒歩移動中等にメモしておいたものを見直しながら起こして行く。そしてこの日はそれだけでなく、書いている内に思い出したことも書き足して行った。

 ファンドさんの関心は既に投資関係の記事に移っており、またiPhoneの液晶画面を見詰めてはぶつぶつ独り言ちながら、熱心にメモを取り始めた。

 

         朝のひと時雑詠

 今日で3日連続の出勤日である。

 ちょっと疲れが溜まって来たが、私にとっては週末でもある。

 その嬉しさがあった所為か? 今朝は起きて直ぐに韓国ドラマを視始めた。

 何時もであればブログを更新しているところである。

 さて、先日申し込んだショッピングサイトのクレジットカードの審査が通ったようであるから、この週末はじっくり買い物を楽しまなくっちゃね。フフッ。

 

        次々とカードが溜まり金が減り

 

        次々とカードが溜まり金欠に

 

 それはまあともかく、今日は以前に靴下屋で買った1枚200円の布製マスクをして出た。

 価格的にはこれを買った店で比べれば不織布製の使い捨てマスクの5倍(※1)ぐらいである。

 不織布マスクとは臭いが違うのと、大きさが違うのとで、ちょっと落ち着かない。

 洗っている内に落ち着いて来るのであろうか?

 そんなに長くは持たない気もするし、微妙な価格設定ではあるなあ。フフッ。

 

        久々の布製マスク落ち着かず

 

        久々の布製マスク微妙かな

 

 さて、職場の最寄り駅が近付いて来たようである。

 この前はこの辺りで書き物に集中し過ぎたのか? 乗り越してしまった。

 今日は気を付けなくっちゃね。フフッ。

 

        乗り越さぬ強い決意でメモを閉じ

 ところで、今日は職場にブルトゥーススピーカーを1本持って来た。

 仕事を終えてから、職場に置いてあるパッシブスピーカー(※2)を1組持ち帰るつもりである。

 家ではこの頃、価格的に同じレベルのスピーカーを繋ぎ替えながら様子を見ているが、実際にはあまり変わらないような気もする。

 それに今日持ち帰るつもりでいるスピーカーは同じ一流メーカーの製品であるから、益々差が分からないのかも知れない。

 それはまあともかく、今日の仕事を終えたら休みに入るかと思うと、何だか気が抜けたようで、軽く頭痛がして来た。

 なんて書いていたら、この頃彼方此方が消毒されており、自分でも出来る範囲で消毒をするから、自然と消毒薬を吸ってしまっていることを思い出した。

 ところで、今放送しているNHKの朝ドラ、「エール」では、この頃二階堂ふみが演じる古関裕而の実際の妻で歌手の金子をモデルにしたヒロインの古山音よりも三浦環をモデルにした柴咲コウが演じる双浦環の存在感が光っているように思われる。

 気になって三浦環を検索してみたら、このところ検索数がえらく上昇していた。

 それに柴咲コウの検索数も。

 実際の三浦環はちょっと男っぽくも見えて、失礼ながら小梅太夫を思い出してしまった。

 何でも横幅の広い巨漢だったらしく、古関裕而夫妻と共に観た大相撲の升席の件(※3)はちょっと笑ってしまう。

 然もありなん。

 実際のオペラ歌手はふくよかな方が多く、たとえば娼婦が結核で死ぬような役には違和感があっても普通だとか!?

 なんてことを今、ソプラノ歌手、藍川由美の「古関裕而歌曲集」(日本コロンビア株式会社発売、1996年1月録音)を聴きながらこれを書いている。

 古関裕而に関する本(※4)はまだ買えていないが、色々発展的に楽しみたくなるドラマではある。

 ただ、ドラマ自体は十分に面白いが、韓国ドラマに比べるとあっさり系でもの足りない面もある。

 まあそこが日本的で、視る方それぞれに行間を楽しめば好いのかも知れない。

 製作者側が、その、いわゆる行間の余白を残してくれているとでも思えば好いのだろうなあ。フフッ。

 

        朝ドラの足りない部分追い求め

 

        朝ドラの足りない部分調べ出し

 

        朝ドラのもの足りなさを追い求め


        朝ドラのもの足りなさを埋め始め

        朝ドラの行間を読みまた楽し

 

        朝ドラの行間調べ楽しみに

 

 さて、現実の古関裕而は1909年の生まれであるから、大東亜戦争の頃は中年期に入った頃であろうか?

 当然のように軍歌の作曲、戦地への慰問等にも結構関係していたようだ(※5)。

 そんな当たり前のことに自責の念を持つ優しさもドラマではよく伝えている!?

 それはまあともかく、子どもらが将来に向けて動き始めている。

 連休に入ってからその為のリクリートスーツを何処で買えば安く、また気楽か? 下調べをする予定である。

 どうせそんなに高い物は買わないのであるから、何処でも好いようないものであるが、子ども等はちょっとしたことを面倒臭がるので仕方が無い。

 少しは親らしいことをしなくっちゃね。

 なんて、いまだに思わせてくれることに感謝すべきかも知れないなあ。フフッ。

 なんて、一体誰に!?

 

        親バカや手取り足取り飛び立たせ

 

        親バカや手取り足取り旅立たせ

 

 その辺りまで書いて、自分なりには今日も上手く書けたと思い、慎二がしみじみとしていたら、

「おはようございま~す」

「おはようございま~す」

「おはよ~う」

 井口清隆、すなわちメルカリさんが執務室に入って来た。

 慎二はちょっと迷い、メルカリさんの方に「神の手」の液晶画面を向け、見せながら問い掛ける。

「メルカリさん、どう、これぇ? 僕なりには今日もまあまあ上手く書けたと思うんやけどなあ・・・」

 それだけのことで小心者の慎二は、相変わらず緊張で頬を紅潮させ、耳たぶをひくひくさせている。

「ブログさん、相変わらず毎朝、よう精が出ますねえ」

 気の好いメルカリさんはそう言って半分呆れ、半分感心しながら、

「どれどれ、ふむふむ、・・・」

 さっと目を走らせて行き、
「そう言えば、今、綺麗な声の歌が掛ってましたねえ。ふぅ~ん、歌ってはる歌手は藍川由美って言うんですかぁ~?」
 慎二の机の上に置いてあるCDのケースを手に取りながらしみじみと言うメルカリさんを見て、慎二はちょっとからかいたくなって来たようである。

「ええやろぉ~!? それに、このKENWOODのCDラジオ、中古で買ったんやけど、中々ええ音してるしなあ・・・。でも、まだ上げへんでぇ~! どうせ上げたらまた直ぐにメルカリで売る気やろしなあ。フフッ」

「またそんなこと言う。僕、ブログさんに貰ったもの、売ったことなんて1回もないですよぉ~!」

 それでも慎二は時々そんな風にメルカリさんをからかい、上げたものを果たして使ってくれているのか? 確認したくなつて来るのであった。

 メルカリさんもその辺の心理は分かっているようであるが、しつこく感じ始めたのか? 話題を替える。

「それはまあともかく、僕も視てますけど、エールは確かに面白いですねえ!? それに女優陣が中々好い・・・」

 若い子好きの慎二はそれだけで目を輝かせ始め、

「そうやろぉ~!? 流石メルカリさんやぁ! ほんでやなあ、その内でどの子が好いんやぁ~? 正直に言うてみぃ~」

「ハハハ。何や取り調べでも受けているみたいですねぇ!? まあ僕は、強いて言えば音のお姉さんの関内吟の役やっている松井玲奈派ですけどぉ・・・」

「あっ、やっぱりぃ! メルカリさん、何とか48とか、何とか坂とか、ほんま、好きやもんなあ!? フフッ」

 そう言いながら慎二はちらっと事務を担当している若い依田絵美里の方を見る。メルカリさんはちょっとロリーが入ってオタクっぽいと印象付けるかのごとくに・・・。

 絵美里はオヤジ達の与太話など大して気にしていない風に、ただ笑っていた。

 メルカリさんはちょっと気になるように、やはりちらっと絵美里の方を見て、

「僕のことはもういいんですけど、ブログさんはやっぱり柴咲コウですかぁ~!? あの人は可愛いと言うよりもええ女と言う感じですもんねえ・・・。さあ仕事の用意を始めなくっちゃ!」

 答えを待たずにさっと立ち上がり、給湯室にコーヒーを淹れに行った。

 それを見た絵美里が熱いお茶を淹れた備前焼のぷっくりした湯飲みを持って来て、慎二の机の上にそっと置き、「神の手」の液晶画面にさっと目を走らせながら、

「私も視ています、エール! 小山裕一、佐藤久志、村野哲男、木枯正人、皆恰好が好いですねえ。藤沢さん、そう思いませんかぁ!?」

 そう言いながらちょっと遠い目をする。

 今、絵美里が頭の中であのイケメンたちを思い浮かべているのかと思うと、ちょっと悔しくなって来た慎二は、その思いを断ち切るかのように、

「さて、俺もそろそろ仕事の準備に掛からなくっちゃ!」

 と言いながら、もう絵美里のことから関心が離れた、と言うような振りをして職場で割り当てられているノートパソコン、「かりそめの幸せ」を開いた。

 絵美里はちょっと肩透かしを食らったような表情になり、フッとひと息吐き、直ぐに諦めて気を取り直し、スッと離れて行く。

 

        其々に好みの役者浮かべつつ
        朝のドラマを楽しむのかも

        

        其々に好みの役者浮かべつつ
        日々の元気を得ているのかも

 

※1 この時点での不織布使い捨てマスクは200円割る5とすれば40円で、50枚では2000円。なんてしなくても、200円で5枚であれば、単純に考えて2000円で50枚かぁ~!? ともかく、まだまだ高いイメージである。今、2020年8月27日で、もう直ぐ転売禁止が解除されるようであるが、ネットでは1000枚とか、多めに買えば1枚6円、つまり50枚300円とかに下がっているのが、今後どうなるのか!?

※2 アンプの入っていない、普通のスピーカーのことであるが、この頃はアンプ入りのパワードスピーカー、更にブルートゥースの機能が入ったスピーカーも増えて来たので、わざわざパッシブと断わることが増えたように思われる。

※3 何でも三浦環御一行様の所為で、古関裕而夫妻が並んでは座り切れなくなり、妻の金子さんは古関裕而の膝の上に座ったとか。金子さんが書いた文章には、それを三浦環がちらちらと羨ましそうに見ていた、という記述もあったような記憶がある。

※4 その後、何冊かの本を手に入れて読んだが、自伝の方には思い違いが多々あるのだとか。古関裕而はどうやら過ぎたことは次々と忘れて行くタイプのようで、ともかく作品の方も作った尻から忘れて行くらしい。日に日に新た日に新たの、如何にも天才的なタイプである。だから5000曲(実際にはもっと多いこともあり得る!?)もの曲を作れたのであろう。

※5 関係していた、という程度ではなく、後に3巨人のような扱いであった古賀政男古関裕而服部良一の内、一番重用されたのが古関裕而のようである。古賀政男はムーディーな歌謡曲を得意とし、服部良一はジャズ系が得意で、ポップスへと繋がって行ったのか!? ともかく軍歌はマーチ、応援歌が得意な古関裕而の独壇場であったようだ。

 

     ☆     ☆     ☆     ☆     ☆

 

 この話の中に挿入しているブログは実際の日記を反映しているから、内容、日付はほぼ実際に沿っているが、細かなところは殆んど忘れている。

 

 記憶はまあまあ好い方なのであるが、こうして書いておくと安心するのか? 忘れてしまうようである。

 

 あまり覚えているとかえって好くないことも多いらしいから、こうして書いておくのが好いのかも知れない。