sanso114の日記

日々気になったことを気楽に書き留めています。

人は見かけが9割!?(32)・・・R2.6.2①

              その32

 令和2年6月2日、火曜日の朝のこと、藤沢慎二は何時も通り今の職場である心霊科学研究所東部大阪第2分室に7時50分頃に着き、タイムカードにスリットした後、そばに置いてあるアルコール消毒液で手を消毒する。

 これは大分前から置いてあり、来客も含めてそこを通る人の皆が日に数回ずつは使う所為か? この頃は何だかやけに減りが早いように思われる。幾ら呑気で不精者の慎二でも一旦使い始めると、そうしないことが結構大きな不安になって来るのであった。慎二はそれぐらい小心者で、同調圧力に弱いタイプでもあった。だからついでに洗面所に寄って、うがいもしておく。

 そんな一定の安心感が得られる程の儀式的なことまで済ませて執務室に入って来たら、既に正木省吾、すなわちファンドさんが来て居り、スマホを観てはぶつぶつ言いながらしきりにメモを取っていた。

「おはよ~う」

「おはようございま~す」

 挨拶を交わした後、我が国では急速に新型コロナウイルス感染症が収まっていること、全国的に緊急事態宣言に続いて休業要請も解除されていること、しかし福岡県、神奈川県、東京都、北海道等と、広範囲に亙ってまだ感染者が時には増えたりもしていること、通勤電車や駅に学生が見られるようになり、程々に混んでいるときもあること、ファンドさんの一番の関心事である株価に相変わらず大きな変動が起こっていること等、ひと通り世間話をし、慎二は自前の中古ノートパソコン、「神の手」をおもむろに開いた。そして、上手く書けたと思う時は即座にブログにアップ出来るように、テザリング用に格安のSIMを挿したスマホまで用意しておく。

 個人的なことを含めて何処まで書くか何か迷うところでもあったのか? その後は暫らく考え、それからおもむろにメインに使っているスマホを取り出し、通勤電車の中でメモしておいたものを見直しながら起こして行く。

 ファンドさんの関心は既に投資関係の記事に移っており、またぶつぶつ言いながら熱心にメモを取り始めた。

 

         朝のひと時雑詠

 今日も出勤日である。

 昨日は仕事を本格的に再開し始め、色々なことが動き出した。

 その所為か? 定時に帰った後、意外とゆっくり出来た気になっていた。

 それだけ気忙しかったと言うことであろう。

 今日も早速仕事が割り当てられている。

 それはまあともかく、まだ緊張が残っていたようで、今朝も早めに目が覚め、寝床を出て、のんびり韓国ドラマを楽しんでいた。

 これからはもう少し忙しくなり、疲れが溜まって来て、また日常に戻って行くはずである。

 もう1年仕事を続ける為にも、それを期待したい。

 それから、仕事を止めた後、どうするのか?

 本当に年金だけでやって行けるのか?

 生活の更なる縮小も考慮に入れて、今一度検証しておく必要がある。

 年金、保険等の手続きも含めて、これから結構色々面倒そうである。

 これまでの経験から考えても、それをさぼると入らないお金もあるから、何だか微妙な気もするなあ。

 これもまあボケ防止だとでも思って、感謝するべきなのかも知れないね。フフッ。

 

        出る前に沈思黙考落ち着けて

 

        出る前に沈思黙考検温し

 

        水無月や出勤前に検温し

 

 新型コロナウイルス感染症についてであるが、もう好いじゃないかと思い掛けた頃、東京では飲食関係、北九州では病院でとクラスターが発生している。

 全く油断のならない相手であるから、今暫らくの神経質とも思える配慮が必要なようである。

 でもまあ、綻びを縫うように丁寧な取り組みをよく続けることが出来ていると思うべきなんだろう。

 自分の周りを観ても、それは感じられる。

 引っ張られて面倒臭がりの私でも、日々色々と面倒な対策に時間を割いている。

 我ながら感心するぐらいである。

 

        其々が用心しつつ共生へ

 

        其々が用心しつつ共存へ

 

  決して仲好くしたくはないが、中々離れるわけにも行かない隣人と言う感じだなあ。フフッ。

 それも含めて地球と言うわけか!?

 中々。

 さて話は変わるが、大して余裕もないのに、昨日またカードを作ってしまった。

 簡単なように書いてあったのに、遣り始めると結構面倒であった。

 何がしかポイントが付くのに釣られて、ついつい作ってしまったわけであるが、それだけのことでも終わると結構頭の疲労を感じた。

 何か新しいことを始めるのはそれだけエネルギーを使うようである。

 そう考えると、時々は意識して新たなことを始めた方が好いのかも知れない。

 そんな気がして来た。

 今日割り当てられている仕事もそんな感じで、昨日、その資料が足りないことに気付いて打ち合わせをし、またさっと見たところ矛盾に思える点を検討して、それなりに頭を使ったようである。

 それもあって、昨日は帰ってからも頭が回っていた。

 いわゆる慣性の法則である。

 その勢いで、帰ってからも普段はしない手続き何かも始める気になったのであろう。

 届くまでに暫らく掛るようであるが、その後暫らくの間は買い物を楽しめそうだなあ。フフッ。

 

        給付金あてに買い物また始め

 

        給付金ちょこちょこ使い気晴らしに

 

 なんて言いつつ、買うものは大して変わり映えしない。

 テレビで朝掛ける番組にしても、どうやら私は安定志向のようで、大体同じ番組を視ようとするようである。

 それはまあともかく、この頃ついつい早く起きてしまうのであるが、それで時間を有効に使えているのかと言うと、ある時期から寝不足続きで、はっきりしない時間が増えたような気がしている。

 お金だけではなく、時間の使い方に付いても考えておいた方が好いのであろう。

 今日はそれに付いても検討しておきたい。

 ところで、奈良線では通勤電車の窓が大きく開けてあった。

 その窓の近くに立っていたところ、生駒トンネルに入ったら、急に強い風がやって来た。

 ちょっと考えたら当たり前のことなのであるが、この頃こんなことがなかったので、意外な気がした。

 そう言えば大分前に山陰線の鈍行、汽車等でこんな感じを味わった覚えがある。

 若い頃のことである。

 まだ大学生の頃のことで、珍しく兄と一緒の旅であった。

 擦れ違うことの多い兄弟で、この時のことを後から兄は何度か、「全然面白くなかった」と言っていた。

 もしかして友達と一緒であれば、もう少し羽目を外したのであろうなあ。フフッ。

 お生憎様であった。

 私の方はそれなりに楽しめていたが、兄弟だけでの旅はそれだけであった。

 それ以前はともかく、それ以後はあまり覚えがない。

 なんて書いている内に、親戚の家には何度か一緒に行ったことを思い出した。

 私にしても、どうやら兄と一緒にしたことについてはそんなに記憶に残っていないようである。

 まあ肉親であっても、いや肉親であるからこそか? ともかく男同士にはそんな微妙なところがある。

 

        男は競り合うようにインプット

 

 それはまあともかく、今回、新型コロナウイルス感染症に関して色々な外来語が出て来たが、今も頭に鮮明に残っているのはクラスター、パンデミックで、言われてみればあったあったと言う感じがロックダウン、オーバーシュートぐらいか!?

 既に記憶が遠くなっている用語も増えた。

 そのパンデミックであるが、ウィキペディアによると、今回の前は10年ぐらい前の新型インフルエンザとあった。

 記憶にあったのはサーズやマーズであるが、それらはもっと前であるし、パンデミックまでは至らなかったようである。

 この辺りの記憶もごっちゃになり始めた。

 

        色々な記憶が混じり時流れ

 

 その辺りまで書いて、自分なりには今日も上手く書けたと思い、慎二がしみじみしていたら、

「おはようございま~す」

「おはようございま~す」

「おはよ~う」

 井口清隆、すなわちメルカリさんが執務室に入って来た。

 慎二はちょっと迷い、メルカリさんの方に「神の手」の液晶画面を向け、見せながら問いかける。

「どう、これぇ? 今日もまあまあ上手く書けたと思うんやけどなあ・・・」

 それだけのことで小心者の慎二は、相変わらず緊張で耳をひくひくさせている。

「ブログさん、相変わらず毎朝、よう精が出ますねえ。どれどれ」

 気の好いメルカリさんはそう言って半分呆れ、半分感心しながら、さっと目を走らせ、

「ほんまやぁ~。あのカタカナ語攻撃、参りましたねえ。彼方此方で否定的に言われ出してからは、東京都の小池知事なんかもオーバーシュート、感染爆発なんて後に添えてたけど・・・」

「そうやろぉ~!? それ以外にも一杯出て来たけど、メルカリさん、それ全部覚えているかぁ~?」

「いえ、僕もブログさんぐらいですわぁ~」

 そのとき2人の話が耳に入っていたのか? ファドさんが口を挟む。

「そう言えば麻生さんが言っていたボラティリティなんかもありますねえ」

「?????」

「?????」

 慎二もメリカリさんも聴いたことはあるように思われるが、最早何のことか分からず、メルカリさんは、

「さて、そろそろ仕事に掛かる準備をしなくっちゃ」

 と言いながらさっと立ち上がり、コーヒーを淹れに行った。

 残された慎二が目をおどおどさせ始めたのを感じたか? そこに事務を担当している若い依田絵美里が近寄って来て慎二の机の上にお茶を置き、助け舟を出す。

「藤沢さんは株とかはやらないんですかぁ!? 今は株価の変動幅が大きくて大変ですねえ」

 それを聴いて慎二は何とか思い出したようで、然も初めから分かっていたかのように、

「そうそう! ボラティリティがもう少し低くなってくれないと僕らには怖くて手ぇ出されへんわぁ~。フフッ。さて、仕事仕事」

 そう言って絵美里の方にちらっと目を走らせ、視線に感謝の気持ちを滲ませながら、そっと「神の手」を閉じた。

 絵美里はそれに微笑みで答えてスッと遠ざかった。

 スタイルだけではないスマートさに感心しながら、慎二は絵美里の遠ざかって行く後ろ姿から暫らくの間、目を離せないでいた。

 

        外来語何のことだか遠くなり
        漸くコロナ収まるのかも 

 

        外来語自然に使うスマートさ

        つい気持ちまで揺らされるかも