sanso114の日記

日々気になったことを気楽に書き留めています。

人は見た目が9割!?(最新版その44)・・・R4.1.8①

            その44

 

 令和2年6月22日、月曜日の朝のこと、藤沢慎二は何時も通り今の職場である心霊科学研究所東部大阪第2分室に7時50分頃に着いて、玄関ホールの受付前に設置してあるタイムレコーダーにICチップ入りの職員証をスリットした後、直ぐそばに置いてあるアルコール消毒液を掌に溢れんばかりにたっぷりと取り、その中で手指を丸めたり、伸ばしたり、擦り合わせたり、爪の間にも染み込ませようと指先を掌でトントンしたりし、ともかく丁寧過ぎるぐらい念入りに消毒する。

 この消毒液は大分前から置いてあり、来客も含めてそこを通る人の皆が日に数回ずつは使う所為か? この頃は何だか減りが早いように思われる。幾ら呑気で不精者の慎二でも気になって一旦使い始めると、そうしないことが結構大きな不安になって来るのであった。慎二はそれぐらい小心者で、同調圧力に弱いタイプでもあった。だからついでに洗面所に寄って、持参した米国製超強力うがい薬で何回もうがいをしておく。

 そんな一定の安心感が得られる程の儀式的なことまで済ませ、ふぅーふぅー言いながら階段を3階まで上がり、割り当てられた執務室に入って来たら、これも何時も通り、既に正木省吾、すなわちファンドさんが来て居り、ちょっと古めのiPhoneの端に何本も長めのひびが入った液晶画面を食い入るように見詰めてはぶつぶつ独り言ちながら、頻りにメモを取っていた。その変わらなさ加減にも結構大きな安心感があった。

「おはよ~う」

「おはようございま~す」

 ごく習慣的な朝の挨拶を交わした後、もしかしたら梅雨入りしてから次第に蒸し暑くなって来た影響もあるのか? 更に梅雨の合間にも確りと感じられるほど紫外線が強くなっている効果も大きいのか? 我が国では急速に新型コロナウイルスの新規感染者数が低レベルに収まって来ていること、それでも全国的に緊急事態宣言に続いて休業要請、更に都道府県をまたぐ移動の自粛も解除されている所為で早速気の緩みが出始めているのか? 福岡県、大阪府、神奈川県、東京都、埼玉県、千葉県、北海道等と、広範囲に亙ってまた新たな感染者が中々0近くを維持出来なくなっていること、時には無視出来ない数が出始めていること、大阪でも難波、梅田、天王寺、京橋等の繁華街で人波は確実に増えて来ていること、通勤電車や駅に学生が見られるようになり、程々に混んでいるときも増えたこと等、一頻り世間話をし、それから慎二は自前の中古ノートパソコン、「神の手」をおもむろに開いた。そしてそばには、上手く書けたと思う時は即座にブログにアップ出来るように、テザリング用に格安のSIMを挿したスマホまで用意しておく。

 個人的なことも含めて何処まで書くか何か迷うところでもあったのか? その後は暫らく考え、それからおもむろにメインに使っているスマホを取り出し、通勤電車の中、待ち時間、徒歩移動中等にメモしておいたものを見直しながら起こして行く。この日はそれ以外にも、前日のことを思い出しながら付け加えておくことにした。

 ファンドさんの関心は既に投資関係の記事に移っており、またiPhoneの液晶画面を食い入るように見詰めてはぶつぶつ独り言ちながら、熱心にメモを取り始めた。

 

          朝のひと時雑詠

 昨日は朝から好い天気で、暫らくは梅雨の晴れ間となりそうな予報が出ていた。

 少なくとも火曜日辺りまでは青空が広がりそうな感じがしていた。

 今週も月曜日から水曜日までの3日連続出勤であるから、その点は助かる。

 休日の前にちょっとリラックス出来るのと反対で、出勤日が近付くとちょっと緊張が高まっていたが、これはまあ仕方が無い。

 退職までのもう暫らくの間はそれを楽しむぐらいが好いのであろう。

 楽しむと言えば、昨日の昼前、ネットショップに注文していたANKERのブルートゥーススピーカー、SoundCore miniが届いた。

 安くて軽く、意外に音が好いと評価の高い製品である。

 見た目も悪くない!?

 家人がキーボードの練習をするのに安物のヘッドホンをスピーカー代わりに使っていたので、それよりは聴き易いかと思ったのである。

 ブルートゥースで使ってみたら、軽めではあるが、低音が感じられ、多少シャリシャリ感があるものの、ちゃんとそれらしく分る高音まで感じられる。

 最大音量はあまり大きくないので、身近で手軽に使うタイプであろうか!?

 レビューを読んでみると、ブルートゥースよりはFM放送、マイクロSDカードによるミュージックプレイヤーとしての使い方の方が好い音を聴かせてくれる(※1)ようだ。

 外部機器との有線接続にも期待出来そうである。

 付属品は簡単な取扱説明書、アフターケアの案内書、それに充電用のUSBケーブルとあっさりとしたものであるが、この値段では納得が行くものでもあった。

 パッケージは青を基調としてお洒落な感じで、これはANKER製品に共通している!?

 ともかく、安い割に持つ喜びを感じさせてくれるから、ここにも感心させられる。

 なお、色としてローズゴールドと言うピンク系を選んだので、そこも家人は喜んでいた。

 基本となっている? 黒よりは100円高く、税込み、送料込みで2499円であったが、今はカード払いにすると5%引き(※2)になるから、ちょっと買い易い気がする。

 

        ANKERや値段以上を感じさせ

 

        ANKERやセンスの好さを感じさせ

 

 大分前に韓国製品は進出を試みる国に合わせると聴いた覚えがあるから、もしかしたら我が国の趣向に合わせて結構色々な機能を詰め込んでいるのだろうか!?

 そこを我が国の神経の細かさで評価されると、どうしても不満が感じられるような気がする。

 それに値段があまり変わらないことも加わって、この頃リーズナブルなオーディオ関係ではあんまり韓国製品が見られなくなったのではないだろうか?

 それはまあともかく、昨日もアマゾンプライムで音楽を楽しみながらこれを書いていた。

 一昨日子どもが入った有料の動画等配信サイト、U-NEXT(※3)に比べると、音楽にしても、ビデオにしても、楽しめる作品の数が少ないのかも知れないが、私の用途から考えればこれで十分かも知れない。

 これも含めて、これからは楽しみ方が増えて来た分、色々と選ばなければならない(※4)ようである。

 そうしないと、時間、お金が無駄に消費されることになる?

 

        情報を旨く選んで節約し

 

        情報を旨く選んで幸せに

 

 さて、上にも書いたように、今日から3日連続の出勤である。

 昨日は外に出ず、更に少し昼寝をした所為か? 寝付きが悪く、夜中に何度も起きてしまった。

 嗚呼眠い。

 でもまあ何とか起きたから、後はこれまでの経験から考えても、何とかなるだろう。

 ただ、週の後半、木曜日、金曜日と休むところが昨年度とは違い、戸惑うことも多くなった。

 仕事に就いては、ぽっかりと大きな穴が開いた気分になる。

 連続ドラマの途中を見逃したような感じでもある。

 まあ好い。

 この仕事の最後の1年、幕引きとしてはそれで好い気もして来た。

 職場でもそう考えているようで、昨年度まで色々引き受けていた仕事が今年度、一気に他人の手に渡っている。

 

        少しずつ仕事が減って退職し

 

        少しずつ仕事が減って卒業し

 

 話は変わるが、昨日、プロ野球では6試合が行われた。

 投手好きの私として一番印象に残ったのは、オリックスバッファローズのエース候補、山本由伸(21歳、178cm、80kg)(※5)である。

 試合の方は楽天ゴールデンイーグルスと対戦して4対0であったが、山本由伸は8回で94球投げ、3安打10三振無失点の快投で勝利をものにしている。

 1回から速球は150km/hを軽々と超え、最速155km/hぐらい出ていた。

 フォークも140km/hを超え、軌道が好い所為か? バッターはつい振ってしまうようであった。

 他には広島カープの森下暢仁(22歳、180cm、76kg)、中日ドラゴンズの梅津昊大(23歳、187cm、90kg)の快投が光る。

 広島カープは残念ながら後の投手が打たれ、横浜DeNAに1対2で負けている。

 森下暢仁は7回で104球投げ、4安打8三振2四球無失点の快投であったが、勝敗が付かなかった。

 中日ドラゴンズヤクルトスワローズと対戦し、3対0で勝っている。

 梅津昊大は7回で108球投げ、3安打5三振3四球無失点の快投で勝ちが付いている。

 この2人、何れも大卒の2年目で、速球の最速は150km/hを超える本格派であるから、今年に注目(※6)したい。

 

        山本や期待通りの仕事魅せ

 

        山本や圧倒的な仕事魅せ

 

        山本や胸を空く球披露して

 

 さて、そろそろ出る準備に掛からなければならない。

 出勤する日はどうしても気忙しくなる。

 あんまり慌てて動き出すと、私の場合どうしても忘れ物が多くなるから、少しは余裕を持っておく必要がある。

 ところで、家を出た時点ではまだ涼しく、過ごし易い。

 今日も荷物が多く、また、早速仕事のことで頭が回り出した。

 多少荷物が重くなるのは苦にならないが、どこかで置き忘れはしないかと不安になる。

 これはもう小学生の頃からのことで、軽いトラウマのようなものであるから、仕方が無い。

 置き忘れたら困るのは自分なので、精々気を付けるしかない。

 それはまあともかく、最寄り駅で乗り込んだ通勤電車には学生が増え、少し窮屈になりつつある。

 こんなときに、大阪府では新型コロナウイルスの感染者が新たに出始めているから、余計に緊張させられる。

 幸い、ここ数日気になっていた我が家の子どもの熱は下がり始めたようである。

 午後になると熱が上がっていたのが漸く治まって来たのか? 元気になって来た。

 私の方は何時もとそんなに変わらないので、我が家のコロナ禍に対する不安はまあ治まったと見て好いのだろう。

 乗換駅の近鉄生駒で乗り込んだ難波行きの普通電車の混み具合は大分ましであったが、駅がえらく混んでおり、滑り込みで漸く乗れた。

 困ったものである。

 行きも帰りもこんな感じで、のんびり歩いていると、1本乗り遅れることになる。

 それで近鉄生駒線の場合は15分、20分遅れることになるから、それを避けようと思えば、ついつい急いでしまう。

 そんなことも加わって、さっきまで涼しかったのが、難波行き普通電車に何とか乗り込み、ひと息吐いて、気が付けば汗ばんでいる。

 

        急いだら汗ばむほどの陽気かな

 

        乗り換えで汗ばむほどの陽気かな

 

 要するに、普通にしていればまだそこまでは暑くない、ってわけである。

 暫らくして少し落ち着いて来たと思ったら、もう職場の最寄り駅が近くなって来た。

 今度は降りる準備をしなければ。

 降り忘れ、忘れ物には注意しなければなあ。フフッ。

 

 その辺りまで書いて、自分なりには今日も上手く書けたと思い、慎二がしみじみとしていたら、

「おはようございま~す」

「おはようございま~す」

「おはよ~う」

 井口清隆、すなわちメルカリさんが執務室に入って来た。

 慎二はちょっと迷い、メルカリさんの方に「神の手」の液晶画面を向け、見せながら問い掛ける。

「メルカリさん、どう、これぇ? 今日も自分なりにはまあまあ上手く書けたと思うんやけどなあ・・・」

 それだけのことで小心者の慎二は、緊張が高まって頬を紅潮させ、耳たぶをひくひくさせている。

「ブログさん、相変わらず毎朝、よう精が出ますねえ・・・」

 気の好いメルカリさんはそう言って半分呆れ、半分感心しながら、朝の忙しい時間帯にも拘らずわざわざ時間を割いて、

「どれどれ・・・、ふむふむ・・・」

 さっと目を走らせて行き、

「ほんとですねえ。とうとう大阪にも新たな感染者が出始めましたねえ!? まあこれは予想されたことですけど、それでもやっぱり緊張しますねえ・・・」

「でも、メルカリさんは未だ車で通勤してるんやろぉ~?」

 慎二はちょっと羨ましそうに言う。

 メルカリさんは今気付いたように慎二からじわじわ離れながら、

「まあそれはそうですけど、まだ何処に新型コロナウイルスが潜んでいるか分かりませんしぃ・・・」

「おいおい。俺のとこはもう大丈夫やってぇ~!」

「ハハハ。こうして来てはるねんから、そんなこと分かってますってぇ~。冗談冗談。ハハハハハ・・・」

 そう言いながらもメルカリさんは頃合いと見たか、サッと立ち上がって給湯室にコーヒーを淹れに行った。

 そこに事務を担当している若い依田絵美里が熱いお茶を淹れた備前焼のぷっくりした湯飲みを持って来て慎二の机の上にそっと置き、「神の手」の液晶が目にさっと目を走らせておもむろに言う。

プロ野球、やっと始まりましたねえ・・・」

 その様子が如何にも感慨深げだったので慎二は、

「へぇ~、依田さん、プロ野球、好きやったん!?」

「変ですかぁ~? 私の友達にも好きな人、結構いますよぉ~」

 絵美里はちょっと不満そうに言う。

 慎二は慌てて、

「ごめんごめん。この頃の若い人はプロ野球なんかあんまり観いひんと言うし・・・。ほんで、依田さんはどこか好きなチームとか、選手とかあるん?」

「ええっ! 友達と一緒に時々京セラドームまでオリックスの試合を観に行くこともあるので、藤沢さんも注目されている山本由伸投手とか・・・」

 そう言いながら絵美里はすっと離れて行った。

《その一緒に野球観戦に行く友達と言うのは、もしかしたら男友達なんやろかぁ~!? そりゃそうやろなあ・・・》

 余計なことを考えながらも口には出せず、慎二は絵美里の後ろ姿をちょっと羨ましそうにじっと見送っていた。

 

        動き出す社会の中でコロナ禍も
        またじわじわと増え出すのかも

 

        マドンナの相手勝手に想像し

        勝手に胸を騒がすのかも

 

※1 ブルートゥースに限らず、一般的に途中、無線による通信が介在すると性能が落ちるが、安価な中国製ブルートゥーススピーカー、ブルートゥース機能付きアンプ等にはSDカード、USBメモリーにより音楽を鳴らす機能も付いていることが結構あり、これが馬鹿に出来ない。意外に好い音がしている。ただ、FM放送に関してはカバーする周波数がずれているので、一部しか受信出来ないのが普通である。

※2 政府主導で6月末までカード払いには5%引きになる制度が実施されていた。消費税が10%に上がったことにより消費が冷え込まないようにする対策のひとつである。カードによっては何時恩恵を受けているのか分からない場合もあるが、例えば直ぐに現金が引き落とされる場合には5%割り引かれているから、庶民にはちょっと嬉しい制度であった。

※3 ウィキペディによると、元々はお店を中心に有線放送を流していた大阪有線放送社USENとなり、その系列として発展して来たようである。この頃幾つかの有料動画サイトがあるが、U-NEXTは無料で視聴出来る作品の多さを売りにしている。基本料金が1990円(税抜き)と少々お高いが、ポイントが1200円分付くので、新作動画・コミック等別料金が掛る作品に使えて、お得感がある。

※4 動画配信サイト、ネットの記事等、情報が溢れるようになっており、料金はともかく、時間的に考えてその全てを楽しむわけには行かない。当然選択を迫られることになる。これは何も今に限らず、私の若い頃既に書籍が1日当たり100点以上出版される時代になっていた。時間とお金が有限である限り、何時の時代も情報は選択する必要があり、それがその人となりを決めて行くのである。

※5 この話の前年、2019年シーズンに山本由伸は先発に戻り、8勝6敗で、防御率が1.95、WHIPが0.96と内容的にはスーパーエース並になっていたが、勝ち星の少なさから、日本的に見るとまだエースとは言い難かった!? それと言うのもこのときまだエースを担っていた山岡泰輔が13勝4敗で、防御率が3.71、WHIPが1.17と、内容はともかく、勝ち星でかなり上回っていたからである。この話の舞台となっている2020年のシーズンは山本由伸が8勝4敗、防御率が2.20、WHIPが0.94で、山岡泰輔が4勝5敗、防御率が2.60、WHIPが1.28であるから、内容的だけではなく、勝ち星でも上回っている。

※6 この話を加筆訂正している2020年9月21日時点において森下暢仁(マサト)は78回3分の2投げて6勝2敗で、奪三振数が84、防御率が2.40、WHIPが1.13と、すっかりエース級で、広島カープの先発陣を見渡しても堂々のトップであった。比べて梅津晃大(コウダイ)は43回3分の1投げて2勝3敗で、奪三振数が43、防御率が3.74、WHIPが1.34と、悪くはないが、何人かの先発陣の中に埋もれている。

追記 更に今(2022年1月8日)から振り返ると、2020シーズン森下暢仁は10勝3敗、防御率1.91、WHIP1.09と山本由伸に匹敵するぐらい素晴らしく、梅津晃大は2勝3敗、防御率3.74、WHIP1.34と比べられるレベルに達していなかった。更に2021年シーズンまで広げるてみると、森下暢仁は8勝7敗、防御率2.98、WHIP1.20と落ちはしたが、やはりエース級であったのに対し、梅津晃大は0勝1敗、防御率1.59、WHIP1.41と差が広がっている。それより何より、山本由伸は18勝5敗、防御率1.39、WHIP0.86と独り孤高の世界に達している!?