sanso114の日記

日々気になったことを気楽に書き留めています。

人は見かけが9割!?(29)・・・R2.5.27①

              その29

 

 令和2年5月27日、水曜日の朝のこと、藤沢慎二は何時も通り今の職場である心霊科学研究所東部大阪第2分室に7時50分頃に着き、タイムカードにスリットした後、そばに置いてあるアルコール消毒液で手を消毒する。

 これは大分前から置いてあり、来客も含めてそこを通る人の皆が日に数回ずつは使う所為か? この頃は何だか減りが早いように思われる。幾ら呑気で不精者の慎二でも一旦使い始めると、そうしないことが結構大きな不安になって来るのであった。慎二はそれぐらい小心者で、同調圧力に弱いタイプでもあった。だからついでに洗面所に寄って、うがいもしておく。

 そんな一定の安心感が得られるまでの儀式的なことまで済ませて執務室に入って来たら、既に正木省吾、すなわちファンドさんが来て居り、スマホを観てはぶつぶつ言いながらしきりにメモを取っていた。

「おはよ~う」

「おはようございま~す」

 挨拶を交わした後、我が国では急激に新型コロナウイルス感染症が収まっていること、通勤電車や駅に学生が見られるようになり、程々に混んでいるときもあること、特別定額給付金の申請書やアベノマスクが中々届かないこと、ファンドさんの一番の関心事である株価に相変わらず大きな変動が起こっていること等、ひと通り世間話をし、慎二は自前のノートパソコン、「神の手」をおもむろに開いた。そして、上手く書けたと思う時は即座にブログにアップ出来るように、テザリング用に格安のSIMを挿したスマホまで用意しておく。

 何か迷うところでもあったのか? その後は暫らく考え、それからおもむろにメインに使っているスマホを取り出し、通勤電車の中でメモしておいたものを見直しながら起こして行く。

 ファンドさんはまたスマホに関心が移り、また熱心にメモを取り始めた。

 

          朝のひと時雑詠
 今日は出勤日である。

 元々は出勤日であるが、仕事の関係で他の日に振り替えていたところ、やっぱり今日も出勤が必要と言うことになり、また振り替えた。

 嗚呼ややこしい。

 本部に居る係の上司もちょっと混乱しかけていたが、職場の都合であるから、文句も言わずに何とかしてくれた。

 それはまあともかく、新型コロナウイルス感染症の方は第1波が何とか収束しているようで、暫らくの間、多少の混乱は仕方が無いところであろうなあ。フフッ。

 

        暫らくは混乱しつつ仕事して

 

        暫らくは混乱しても仕方無し

 

 それはまあともかく、今日は何をするかである。

 元々は休みの予定であったから、職場が設定している会議、および打ち合わせ以外には、6月になって本格化する業務への準備をそれぞれなりに進めることになる。

 任されている分、どの辺りからペースを上げて行くか? ちょっと迷うところである。

 のんびりすることに慣れた心身はのんびり起こして行くしかない!?

 この前は以前のつもりで始めると、ちょっと混乱したので、今日は慎重に進めた方が好さそうだなあ。フフッ。

 

        急激な変化慎み再開へ

 

        ゆっくりと始動しながら再開へ

 

 それはまあともかく、NHK大河ドラマ、「麒麟がくる」の影響で、今、織田信長豊臣秀吉徳川家康、それに明智光秀が出て来そうな本を続けて読んでいる。

 今は大分前に読んだ本、「下天は夢か」(津本陽著、日本経済新聞社刊)を読み直し、1巻目を読み終えたところである。

 細かいところは忘れているので、楽しめているが、これまでに読んだ他の本と被りつつ、違うところもあり、ちょっと混乱するところもある。

 元々資料にすべて書かれているわけではなく、作家の創造力に寄っているところが大きいから、それは仕方の無いところだし、だからこそ面白いとも言える!?

 ともかく、こんな感じで当分の間は楽しめそうだなあ。フフッ。

 

        読み返しまた楽しめる読書かな

 

        読み返しまた楽しめる愛蔵書

 

 それが読書の醍醐味でもあるが、一杯本を買い込んでいても、そんな風に何度か読む本と、全く読まない本、殆んど読まない本等に分かれて来るから、微妙な気はする。

 でもまあそれは仕方が無いところか!?

 そんなに都合好くピンポイントで当たるわけもない。

 数を打つ内に段々感覚が磨かれ、何となく好みのものを選び易くなる!?

 そんな気がするなあ。フフッ。

 

        経験を重ね感覚磨かれて

 

        経験を重ね感覚鋭敏化

 

 今のところ予定では今日から3日連続で出勤日となるが、今日の進み具合でそれも分からない!?

 予定はあくまでも未定である。

 これも分からないから面白い、とでも捉えておいた方が気楽だろうなあ。フフッ。

 

        出来るだけプラスに捉え気を楽に

 

        出来るだけプラスに捉えお気楽に

 

        出来るだけプラス思考で気を楽に

 

        出来るだけプラス思考でお気楽に

 

 お気楽はやっぱり軽く見られそうだなあ。フフッ。

 それはまあともかく、家を出た時、生駒山はすっぱり雲に覆われて、麓も見えなかった。

 割と涼しく、夏物のブレザーを着て出て、ちょうど好いぐらいであった。

 最寄り駅に近付いた頃にマスクを着用したが、そんな人も増えたように思われる。

 駅で何人かがマスクを着用し、電車に乗った時は殆んどの人がマスクを着用していた。

 混み加減は何時もとそんなに変わらず、余裕を持って座っているから、勢い立っている人がひと駅毎に増えて来た。

 なんて書いている内に生駒山の麓の雲が切れて、山肌が見え始めた。

 予報通り、これから晴れて来そうだなあ。フフッ。

 

        少しずつ雲切れ始め生駒見え

 

        少しずつ雲切れ生駒見え始め

 

        少しずつ雲切れ上がり生駒見え

 

 乗換駅の生駒は何時も通り混雑していたが、乗り換えた尼崎行きの普通電車は、これも何時も通りに空いていた。

 それは緊張感を多少なりとも認めてくれるので助かる。

 それはまあともかく、マスクをしているとやっぱり暑い!

 熱中症に注意なんて言われると、余計に気になり、更に暑くなる。

 こんな風に言葉には不思議な力が宿っている。

 全体の10%も表していないとはよく言われることであるが、その分、切り取った部分を先鋭化するところがある。

 これが正しく切り取れていれば何の問題もない。

 むしろ時間と労力を削減してくれ、願ったり、叶ったりである。

 現実にはそう上手くも行かず、変に強調することも往々にしてありがちだから、悩ましい。

 たとえばネットでの誹謗中傷である。

 鋭い着眼点や分析力の結果紡ぎ出された言葉ではなく、その場の負の感情から吐き出された言葉が殆んどであるにも拘わらず、変に力を持ってしまう。 

 いわば言葉の暴力である。

 それらしい言葉ほどそうなりがちであるから、心しておく必要がある。

 

        それらしい言葉意外と力持ち

 

        それらしい言葉意外と先鋭化

 

 ともかく、他人を攻撃するような言葉には耳を貸さないことである。

 目を貸さないことである。

 自分のことを思って言ってくれている場合は、普通大勢の耳目に触れる形は避けるものである。

 それはまあともかく、職場の最寄り駅に近いドラッグストアで久し振りにマスクを観た。

 7枚398円(1枚当たり約57円)と10枚598円(1枚当たり約60円)の2種であった。

 少し迷ったが、7枚398円の方を買っておいた。

 勿論中国製であるし、50枚にすれば約2843円と、ちょっと割高になるが、仕方が無い。

 これも仕事をする上での経費だろうなあ。フフッ。

 

        久々の不織布マスク値上がりし

 

この日も自分なりには上手く書けたと思い、慎二がしみじみしていたら、

「おはようございま~す」

「おはようございま~す」

「おはよ~う」

 井口清隆、すなわちメルカリさんが執務室に入って来た。

 慎二はちょっと迷い、メルカリさんの方に「神の手」の液晶画面を向け、見せながら問いかける。

「どう、これぇ? 今日もまあまあ上手く書けたと思うんやけどなあ・・・」

 それだけのことで小心者の慎二は、相変わらず緊張で耳をひくひくさせている。

「毎朝、よう精が出ますねえ。と言うても、この頃僕はここに来るより家に居る方が増えてますけどねぇ。フフッ」

 そう言いながらちょっと照れ、半分呆れ、半分感心しながら、気の好いメルカリさんはさっと目を走らせて言う。

「ほんま、言葉の暴力は腹立ちますねえ。言い返しても思い込みの強い人は聴く耳を持たへんしぃ・・・」

 珍しく目を怒らせている。

「おっ、メルカリさんも何か言われたことがありそうやなあ。たとえばマスクの転売とかぁ・・・」

「あっ、また!? 転売なんかしてへん言うてますやん!」

「ごめん、ごめん」

「まあブログさんのそれは冗談やと分かってますし、顔が見えて何ぼでも遣り取り出来ますからええんですけど、ネットやと誰に言われているかも分からへんし、溜まりませんねえ」

 そう言いながらメルカリさんはサッと立ち上がり、コーヒーを淹れに行った。何時もよりはちょっと目に緊張を残しながら・・・。

 そんな様子を見ながら事務を担当している若い依田絵美里が微笑みながら近付いて来て慎二の机の上にお茶をそっと置き、「神の手」の液晶画面に目を走らせながら言う。

「本当に、私もネットの誹謗中傷には腹が立ってます。ところで藤沢さん、マスク買って来はったんですねぇ。この前困ってはったから、ネットで序でに買っておきましたので、これもよろしかったらどうぞ」

 差し出されたマスクは50枚の箱入りであった。

 慎二はちょっと目をおどおどさせながら、

「あっ、ありがとう! でも、これ高かったんちゃう!?」

 そう言うと、絵美里は笑いながら、

「いえ、もう大分下がってましたから・・・」

 と言ってスッと遠ざかって行った。

 けちな慎二はそれですっかり貰って気になり、

《嗚呼得した。これからは洗って使わなくてもええなあ。俺が買ったのも合わせて57枚やから、これから2か月ぐらいは使える・・・》

 そんな勝手な胸算用をして独りにんまりしていた。

 

        ぼちぼちとマスクが増えて安心し

        漸く仕事乗り出すのかも