2020-03-30から1日間の記事一覧
その2 約束の日、藤沢慎二は駅前の喫茶店「みつばち」の馴染みの席に座っていた。これまで色々と恥ずかしいところを見せて来たので多少臆するところはあったが、大分経つからもうそろそろほとぼりが冷めた頃だろうという楽観的なところと、今日は曲がりなり…
その1 10月上旬、書斎の窓から見える刈り取られた田んぼの周りに咲き揃う彼岸花が美しい。窓を開ければ、さわさわと庭木の梢を揺らす秋風が心地好く頬をくすぐる。 藤沢慎二は勤務する心霊科学研究所の緊急特別業務による休日出勤を一昨日の土曜日に終え…
人は好奇心の塊である。それ故、気の合う仲間が何人か集まると、わいわい、がやがや、色んなものに興味を示して思わぬアイデアが飛び出し、人生が楽しくなる。しばし憂さも晴れようというものだ。 逆もまた真なりである。独り暇を持て余して悶々としていると…